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貴重な“右の打てる捕手”上武大・進藤勇也 スカウトが評価する“3つの良さ”とは

 

10年任せられる司令塔


上武大の主将としてチームを鼓舞する進藤は、2年時から不動の正捕手。昨年は大学日本代表の司令塔としても活躍した


 NPBは昨今「深刻な捕手不足」と言われている。各球団とも「10年任せられる司令塔」は、切実な補強ポイントだ。

 2023年ドラフトにおいて、この問題を解消してくれそうなのが上武大の主将・進藤勇也(4年・筑陽学園高)である。

 強肩強打。どのチームも、ノドから手が出るほど欲しい「右の打てる捕手」は早くも「上位候補」としてスカウト戦線をにぎわせている。

 3月2日。東洋大とのオープン戦ではドラフト上位候補の155キロ左腕・細野晴希(4年・東亜学園高)と対戦した。1回裏無死二、三塁からの第1打席は1ボール2ストライクからの内角真っすぐに詰まり、バットが折れて三ゴロ(1打点)。3回裏二死二塁の第2打席では「早いカウントから仕掛けよう、と。ファーストストライクを振っていきました」と、初球のツーシームを左前へ運び、タイムリーとなった。しっかり、修正してきたのである。

 この日、試合会場となった上武大野球場は強風だった。集中力を保つのが難しい状況も、進藤は投手陣を体全体で鼓舞し、巧みなリードを見せた(試合は上武大が8対6で勝利)。

 スタンドでは5球団7人のスカウトが視察。「谷口(英規)監督からも試合前に、来ていただけることを聞いていたので、メチャクチャ意識していました。いつもより、気持ちは上がっていました」(進藤)。力む必要はない。普段どおりのパフォーマンスを見せれば、十分、アピールできる。

リーダーシップも抜群


 182センチ88キロ。進藤の良さとは何か。複数のスカウトに聞くと、3つの良さを確認することができた。

「捕手は守りが優先される中で、地肩があり、プラスαで打撃がある。打力がついてくると、捕手としての評価はさらに上がってくる」(ソフトバンク・宮田善久関東統括スカウト)

「ここで何とかしてほしいという場面で、力を発揮してくれる選手。チームを引っ張っていく姿勢、リーダーシップが見て取れる」(広島高山健一スカウト)

「体が強く、ケガをしない。練習をこなせるのも、レベルアップする上では必要な要素。上武大という厳しい環境で根性がすわっており、メンタルも強固」(阪神吉野誠スカウト)

 3年間、指導してきた谷口監督は、前倒しで3年秋から進藤を主将に指名し、場数を踏ませてきた。現状での「実力」をこう語る。

「打撃、キャッチング、スローイングにも課題があり、もう1ランク、2ランクレベルアップできる。それだけの伸びシロがある。放っておいても、努力を怠らずに練習する選手。一方で、フィジカル面は出来上がっている。トレーニングにおいては、マニアの部類。そこまでやるのか、と。人としても、主将の立場でもう一つ、成長できるポジションにいる」

 昨年は侍ジャパン大学代表の正捕手としてプレー。名実とも2023年の大学球界の「顔」として、進藤の存在感は高まるばかりだ。

文=岡本朋祐 写真=矢野寿明
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