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日本ハム・矢澤宏太が「吉田正尚2世」と評価急上昇 「打者専念」勧める声も

 

高いミート能力


二刀流挑戦中の矢澤だが今のところ打撃で結果を残している


 投打の二刀流で注目を集めている日本ハムのドラフト1位・矢澤宏太が、打撃で評価を高めている。

 2月19日の練習試合・楽天戦(名護)で3打数3安打1打点と大暴れし、プロ入り初の猛打賞をマークするなど広角に安打を量産している。好投手から一発を打っていることも明るい材料だ。同月14日の練習試合・楽天戦(金武)では5回に代打出場し、WBCに選出された通算197セーブ左腕・松井裕樹投手の低めの直球を振り抜き、右翼へ2ラン。「一番・右翼」でスタメン出場した26日のオープン戦・阪神戦(名護)では、初回に通算110勝右腕・西勇輝の初球のシュートを振り抜き、先頭打者初球アーチを放つなど2試合連続のマルチ安打をマークした。

 他球団のスコアラーは、「松井、西勇はまだ調整段階だが、簡単に打てる投手ではない。体幹が強いんでしょうね。変化球にも崩されずフルスイングできる。ミート能力が高く、吉田正尚(レッソドックス)に重なる部分がある。矢澤は足が速いのでチャンスメーク役を担える。これからオープン戦でじっくり見たいですね」と警戒を強める。

投手ではデビュー戦で1回1失点


 矢澤の活躍はチームにとって朗報だ。中心選手だった近藤健介が昨オフにソフトバンクへFA移籍。外野でレギュラーが確定しているのは、昨季首位打者を獲得した松本剛のみだ。今川優馬万波中正、阪神からトレード移籍した江越大賀らがしのぎを削るが、想定外の誤算も。リードオフマンとして期待された五十幡亮汰が、2月21日の練習試合・中日戦(北谷)で外野守備の際にフェンスに激突。担架に運ばれて退いた。「右膝打撲」で大事には至らなかったが、戦列復帰のメドは立っていない。走れる選手は貴重だけに、五十幡の離脱は大きな痛手だが、一番を矢澤に託せるならば、機動力を生かした攻撃ができる。

 気になるのは起用法だ。投手としては2月23日のロッテ戦(名護)に実戦登板。7回から救援登板すると、先頭の松川虎生にスライダーで右翼線二塁打を浴びた。二死三塁となり、茶谷健太の打球は一塁正面のゴロだったが、清宮幸太郎が後逸。デビュー登板は1回を1安打1失点(自責ゼロ)だった。3月2日の紅白戦(エスコンF)では紅組の先発予定だった上沢直之が体調不良のため、矢澤が急きょマウンドへ。1回1安打2四球で3失点だった。

 スポーツ紙記者は「矢澤は打者だけでなく、投手として試合に登板したい気持ちはあると思うが、現実的になかなか難しい。救援での起用法になるがどっちつかずになるより、打者・矢澤としての骨格を固めてから、来年以降に二刀流で挑戦した方が伸びしろが大きいと思います」と語る。

今後問われる対応力


 3月に入り、投手のコンディションも上がってくるため、ここからのオープン戦で対応力が問われる。野球評論家の伊原春樹氏は週刊ベースボールのコラムで、「投打の二刀流に挑戦している日本ハムの1位・矢澤宏太も身体能力があり、俊足で肩も強い。タイプ的には楽天・辰己涼介のような感じか。ここまで実戦は打者が先行しているが2月14日、楽天との練習試合(金武)では松井裕樹から2ランを放った。だが右足を上げて打つスタイルで左右の体重移動が激しく、かわされると凡打を重ねてしまいそうだが、そこをどう克服していくか。今後の打席での対応力に注目していきたい」と綴っている。

 日本ハムで活躍し、投打の二刀流でメジャーを代表する選手に進化した大谷翔平(エンゼルス)に対するあこがれは強い。一方で、どのような形がチームに最も貢献できるかを模索しなければいけない。就任2年目の新庄剛志監督が矢澤をどう輝かせるか。起用法が注目される。

写真=BBM
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