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【大学野球】「意識だけは東京六大学、東都に勝つ!」 全国舞台での快進撃を誓う愛知東邦大

 

最高峰で戦える手応え


愛知東邦大の主将・松吉は四番で強肩捕手。攻守のキーマンはプロ志望を表明する


 愛知大学野球連盟一部の愛知東邦大は2月20日から28日まで三重県熊野市でキャンプを張った。

「日本で一番、ボールを捕って、バットを振ってきた大学という自負があります」

 2021年春から愛知東邦大を指揮するのは田中洋監督。母校・愛知学院大を率いた際には、全国舞台で実績十分の熱血指揮官である。

「技術では劣っているかもしれませんが、意識だけは東京六大学、東都に勝とう! と学生たちに言ってきました。こちらの意図を理解してくれ、学生主体で動いてくれています」

 何しろ、気合が違う。熊野キャンプでは朝7時30分からの早出特守で、800球以上のノックを受けた。同時並行で特打。昼間もランチ特守、特打があり、全体練習後も特守、特打と野球漬けの9日間を過ごした。1日1000スイングがノルマ。田中監督は言う。

「練習量をこなすにはスピードが大事で、スピードがクリアできれば質の良さにつながる」

 22年春、愛知東邦大は二部優勝。星城大との二部プレーオフを制し、愛知産大(一部7位)との一部二部入れ替え戦第1週を連勝、東海学園大(一部6位)との一部二部入れ替え戦第2週を連勝し、01年の創部から初の一部昇格を決めた。同秋は一部リーグで初の勝ち点1を挙げ、5位で一部残留。愛知大学リーグの最高峰で、戦える手応えをつかんだ。

 田中監督は18年7月にコーチ就任。今年の4年生は自ら足を運び、スカウティングしてきた初めての代である。

 指揮官は「一部に上がって、神宮(全日本大学選手権、明治神宮大会)に出場する」と、入学時から多くの注文を出し、強じんなメンタルを植えつけてきた。鍛錬の場はグラウンドだけではない。学生の本分である大学授業を基本とし、合宿生活も厳しく指導してきた。

 その教えは部員にもしっかり、浸透している。松吉颯生主将(4年・大垣日大高)は言う。

「当たり前のことを、当たり前にやる。あいさつ、礼儀、返事。試合に出場するメンバーだけなく、66人の全部員に徹底させています」

 松吉は打っては四番、守りでは強肩捕手と攻守のキーマンである。投手陣は最速139キロの左腕エース・徳久遼(4年・浜松湖北高)、高校時代は軟式野球部だった147キロ右腕・上田空大(4年・瀬田工高)が先発の両輪を形成。試合終盤の守護神には149キロ右腕・富田綱希(4年・明石商高)がブルペン待機し、盤石のスタッフである。野手もリードオフマンの青木柊斗(4年・八幡商高)、竹延尚哉(4年・愛知商高)と、田中監督が3年間、手塩にかけて育成してきた猛者が頼りになる。

今年は「一つの集大成」


愛知東邦大は投手3本柱を形成。左から上田、徳久、富田はいずれも大学卒業後はプロ志望である


 チームスローガンは「頂へ 〜神宮への近道なし〜」。今春は愛知大学リーグで初優勝を目指し、そこで満足することなく、全国舞台でも快進撃を誓う。

 東邦高、愛知東邦大を運営する東邦学園は23年、学園創立100周年。19年春のセンバツ甲子園で東邦高を優勝へ導いた森田泰弘氏は20年3月末で退任後、同4月からは東邦学園野球部総監督として、後方支援に徹している。

 センバツ歴代最多5度の優勝を誇る東邦高は昨秋の東海大会優勝で、3月18日に開幕するセンバツ出場を決めている。森田総監督は「高校と大学のアベックで明治神宮大会出場。これ以上の喜びはない」と、言葉にも力が入る。

 機は熟した。田中監督は4年計画で強化してきた23年を「一つの集大成」と、覚悟を決めている。練習はウソをつかない。全力で戦う姿勢は、どこが相手でもブレない。グラウンド内でキビキビ動く愛知東邦大は思わず応援したくなる、洗練された大人の集団だ。

 エース・徳久は「圧倒して、無傷で神宮へ行く」と、10戦全勝優勝を目標として語った。愛知大学リーグの新興勢力・愛知東邦大はひたすら前だけを見て、戦いを挑んでいく。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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