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【高校野球】兄・石川昂弥と同じく「決勝で本塁打を打ちたい」 東邦を4年ぶりセンバツ頂点に導く弟・瑛貴の覚悟

 

名門校をけん引する精神的支柱


中日石川昂弥の弟・瑛貴[左]は、兄に続いて東邦高の主将。父・尋貴さん[右]も同校野球部OBだ


 指揮官の考えを理解しているチームは、自らで考えて、動くことができる。3月18日のセンバツ甲子園開幕を控えた東邦高の主将・石川瑛貴内野手(3年)は、名門校をけん引する精神的支柱だ。

 3月4日に高校野球の対外試合が解禁。東邦高は木本高(三重)との練習試合初戦を10対3で勝利した。主将・石川の出場はなかったが、三塁ベンチで最も目立っていた。的確な指示でチームを鼓舞し、ゲーム中に声が途切れることはない。元気の源である。

 2019年春のセンバツで、主将として東邦高を30年ぶりの優勝へ導いた中日・石川昂弥を兄に持つ。

 父・尋貴さんは同校OBで1989年春のセンバツ優勝を側面から支え、長男、次男に続いて学校のPTA会長と野球部の保護者会長を務めている。週3回は合宿所の管理人として寝泊まりし、母校野球部を強力サポート。この日の練習試合も、現場と保護者のつなぎ役として、東郷グラウンドで動き回っていた。

「チームとしてのまとまりがある。目指すは優勝でしょうが、一つひとつのプレーを大事にしてほしい」と期待を込めると、次男については「やるべきことを、やってくれれば。そこ(甲子園)を目標にこれまで取り組んできましたからね。本人も与えられた役割は分かっているはず」と、目を細めていた。

 兄と同様、弟も右の強打者。主将・石川は声とプレーで引っ張った上で「決勝の舞台で、ホームランを打ちたい」と目標を語った。4年前、習志野高(千葉)とのセンバツ決勝で兄は2本塁打を放ち、投げては3安打完封で紫紺の大優勝旗(歴代最多5度目)を手にした。

 父・尋貴さんは、次男の意気込みを受けて「そう考えるでしょうね。そう思っていれば、打てる。甲子園は別の力が作用することがありますからね」と優しい顔で語った。

練習試合後、選手たちに指示を出す東邦高・山田監督は主将・石川[前列左から2人目]に全幅の信頼を置く


 東邦高・山田祐輔監督は「彼がいれば、チームは回る。紅白戦では、自らサインも出しますからね」と、全幅の信頼を寄せる。常々、石川は「兄を超えたい」と連呼してきた。

「緊張するんですかね……。自分はそういうタイプではありませんが……。日本一を目指していきたいと思います」

 兄が頂点に立って以来、東邦高は4年ぶりのセンバツ出場。あこがれの舞台を目前に控えて、胸の高鳴りを抑え切れない様子だった。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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