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長野久義に開幕スタメンの可能性が 巨人の左翼が「レギュラー白紙」に

 

実戦でハツラツとプレー


5年ぶりに巨人へ復帰した長野


 巨人の外野手争いが熾烈だ。3枠で確定しているのは、右翼の丸佳浩のみ。中堅のルイス・ブリンソンもレギュラーが確定しているわけではない。

 左翼は来日1年目の昨季23本塁打をマークしたアダム・ウォーカーが最有力に見られていたが、2月下旬にファーム降格。対外試合で9打数1安打と状態が上がらず、左翼の守備でもフライを後逸するなど精彩を欠いていたことから、ファームで出直しとなり、その後、3月8日に一軍へ合流した。和製大砲として期待が大きい秋広優人、ドラフト2位の萩尾匡也、俊足が武器の鈴木大和も実戦でアピールできずにファームへ。結果を出した人間がチャンスをつかめる。原辰徳監督の考えはシンプルだ。

 その中で、新戦力がアピールしている。現役ドラフトで楽天から移籍したオコエ瑠偉は、春季キャンプ一軍スタートで好調をキープ。実戦で結果が出ていることから、自信を取り戻したように感じる。そして、もう一人忘れてはいけない選手がいる。昨オフに無償トレードで広島から5年ぶりに電撃復帰した38歳のベテラン・長野久義だ。3月4日の練習試合・韓国サムスン戦(那覇)では1点ビハインドの8回二死二塁で、代打で登場。一塁線を破る同点適時二塁打を放ち、ベンチは大盛り上がりだった。

 ドラフト1位で入団した1年目の10年に外野のレギュラーを獲得し、新人王を獲得。11年に首位打者、12年に最多安打とチームの中心選手として稼働してきた。FA移籍した丸佳浩の人的補償で広島に移籍したのが18年オフ。ナインからの人望が厚く、巨人ファンから絶大な人気を誇っただけに衝撃が走った。

 広島で19年から4年間プレー。100試合以上出場したシーズンは一度もなかった。不完全燃焼の思いはあっただろう。だが、新天地でもナイン、ファンに愛された。巨人に復帰しても、感謝の念は忘れない。オープン戦で広島と対戦した際は、試合前に菊池涼介と抱擁を交わすなど、かつてのチームメートたちと談笑する姿が見られた。

体にキレがあり、スイングも力強い


 広島、巨人OBで野球評論家の川口和久氏は、週刊ベースボールのコラムで長野に対する熱い思いを綴っている。

「俺も現役時代、先発失格となってからリリーフに活路を見いだし、1996年は胴上げ投手にもしてもらった。長野もスタメンで使ってもらえるかどうかは別とし、代打でも結果を出せる準備はしてほしい。実際、20年には代打で4割を超える勝負強さを発揮している。右と左の違いはあるが、亀井(亀井善行現一軍現打撃コーチ)のように巨人版の『代打の神様』になる可能性はある」

「もう一つは、若手と移籍選手中心になっているジャイアンツの中での影響力だね。彼も移籍選手ではあるが、まだチームを離れて4年だし、巨人愛の強さはみんな知っている。あの人間性で、ちょっとバラバラしていたチームを1つにまとめてくれるだろう。38歳という年齢はあり、田んぼの水抜きと一緒にはできないが、この4年間が彼の野球人生の大きなプラスになったのは間違いないと思う。動きを見ていても衰えは感じない。最後か、最後のいくつか前かは分からないけど、今まで一番大きな花を咲かせることはできるはずだ」

 スポーツ紙記者は、「長野は自主トレでウエートトレーニングに力を入れたようで、2月の春季キャンプを見ると、体にキレがあるしスイングが力強い。本人は代打ではなく、レギュラーを狙っているでしょう。オープン戦で結果を残せば、左翼で開幕スタメンを勝ち取る可能性は十分にあります」と期待を込める。

 巧みなバットコントロールでパンチ力があり、勝負強い。何より華がある。巨人のユニホームを身にまとい、もう一度光り輝く姿を見たい。

写真=BBM
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