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巨人・吉川尚輝はもっと評価されていい?「攻守で替えが利かない選手」の声が

 

誰もが認める野球センス


抜群の二塁守備も誇る吉川


 巨人の春季キャンプ。ソフトバンクから加入した「熱男」こと松田宣浩が、常に声を張り上げてチームを鼓舞したことが影響しているのだろう。若手たちも声を出して練習に活気が見られた。その中で、この男にも変化が見られた。副主将に就任した吉川尚輝だ。普段は寡黙な性格で前に出る性格ではないが、常に声を出して主力としての自覚を感じさせた。

 プロ6年目の昨季は初の規定打席に到達。132試合出場で打率.277、7本塁打、31打点、16盗塁をマークした。自身最多の11失策を喫したが、広い守備範囲で他の選手なら追いつけない打球をはじいてしまったケースが少なくない。ゴールデン・グラブ賞の投票では、二塁で10年連続同賞を獲得した菊池涼介(広島)が114票、2位の山田哲人(ヤクルト)が87票、吉川は71票で3位だった。

 吉川に投票したスポーツ紙記者は、こう語る。

「巨人の担当記者でないですが、守備力で言えば吉川が際立っていると思います。堅実というよりダイナミックプレーで菊池にタイプが似ていますが、守備範囲は菊池より広い。抜けたと思った打球を何度も好捕したのが印象的です。プレーの精度を高める必要はありますが、もっと評価されていい選手だと思います」

 野球センスの高さは誰もが認めていた。中日立浪和義新監督は野球評論家だった2020年10月、週刊ベースボールのコラムで、「2017年のオフ、坂本勇人選手と対談したとき、当時、なかなか固定できなかった巨人のセカンドの話となり、坂本選手が候補の1人として『けっこういいですよ。菊池(涼介)っぽくて』と挙げていたのが、吉川尚選手でした。17年ドラフト1位入団で、菊池選手と同じ中京学院大から入った選手です。大学時代はショートながら、巨人には坂本選手がいるのでセカンドのレギュラーとして期待されていました。この年は故障で出遅れましたが、終盤に登場し、攻守にキラリと光る可能性を感じさせました」と評価。

 さらに「守備も天才肌です。瞬間的な動きが素晴らしいし、守備範囲も広く、肩もいい。こちらも、あとは慣れだけでしょうね。ショートとの呼吸もそうですし、さまざまな打球やケースへの対応は試合での経験が確実にプラスになります」と一目置いていた。

順調な調整をアピール


 まばゆい才能を持ちながら、度重なる故障で一軍定着できないシーズンが続いた。昨年も5月4日の広島戦(マツダ広島)で死球を受け、病院の検査で「肩甲骨の骨挫傷」と診断を受けたが、2週間も経たずに一軍復帰。シーズンの最後まで完走したことは自信になっただろう。首脳陣も吉川の新たな可能性を引き出そうと、この春季キャンプの実戦では新たな打順で起用した。

 オープン戦初戦となった2月23日のヤクルト戦(浦添)で、「五番・遊撃」でスタメン起用。公式戦では未経験の打順だったが、きっちり期待に応えた。2回に中前打を放つと、5回無死三塁の好機で中前適時打。3点リードの9回一死三塁でも右翼へきっちり犠飛を放ち、追加点を叩き出した。25日の広島戦(那覇)では「二番・二塁」でスタメン出場し、初回に四球、3回に中越え三塁打、5回に左前打と全打席に出塁。順調な調整ぶりをアピールした。

 二塁は中山礼都のほか、遊撃が本職のドラフト4位・門脇誠の起用を原辰徳監督が示唆している。吉川の定位置が確約されているわけではないが、普段通りのパフォーマンスを発揮できれば、攻守の中心選手であることは揺らがない。28歳と選手としても脂がのり切っている。これからが全盛期だ。

写真=BBM
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