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阪神・中野拓夢は国際試合向き?「150キロ超える直球に強い」の期待が

 

負けん気が強い選手


日本代表として懸命にプレーしている中野


 思い描いたチーム構想で戦えるとは限らない。侍ジャパンも同じだ。右翼で主軸を担うはずだった鈴木誠也(カブス)が左脇腹痛で大会前に出場辞退。打線の組み換えを余儀なくされたが、近藤健介(ソフトバンク)が「二番・右翼」にピタリとハマった。

 守備の要にもアクシデントが。遊撃の源田壮亮(西武)が3月10日に行われた1次ラウンドの韓国戦で、二塁走者で牽制球に帰塁した際、右手を負傷して途中交代。病院で検査を受けた結果、右手小指骨折と診断された。遊撃の守備で球界トップクラスの安定感を誇る源田の穴は簡単に埋まるものではないが、戦いは続く。代役として指名されたのが中野拓夢(阪神)だった。

 中野は昨年まで遊撃を守っていたが、岡田彰布監督の方針で今年は二塁へのコンバートが決まった。春季キャンプでは二塁でノックを重点的に受けていたが、侍ジャパンでは遊撃で準備する必要があった。その努力は並大抵のものではない。だが、阪神を取材していたスポーツ紙記者は、中野についてこう語る。

「負けん気が強い選手なので絶対に弱音を吐かない。ドラフト6位で入団して、同期で1位指名を受けた佐藤輝明のように最初から注目された存在ではなかった。実戦でアピールして首脳陣の信頼を積み重ねることでレギュラーをつかみ、新人で盗塁王を獲得し、侍ジャパンに選ばれる選手にまで成長した。叩き上げのたくましさがある。先輩の源田の分も活躍しようと燃えていると思いますよ」

国際大会で活躍する資質


 源田に比べると遊撃の守備能力で見劣りするが、国際大会で活躍する資質は備えている。源田の負傷交代で途中出場した韓国戦では、6回にチョン・チョルヨンの146キロ直球をライナーで右翼戦にはじき返す三塁打を放つなど、2安打2得点の活躍。チェコ戦は無安打だったが3四球で出塁した。早打ちのため四球が少ないことが課題に挙げられていたが、4試合で出塁率.500と下位打線でチャンスメークしている。自慢の俊足でも2盗塁をマーク。中野は昨年1月に週刊ベースボールのインタビューで、盗塁についてこう語っている。

「社会人のときは盗塁に関して意識はしていなかったですね。矢野(燿大前)監督の『超積極的野球』という方針が、次塁を狙う意識を高めてくれたのはあります。それと筒井(壮)コーチがあと押しをしてくれたのが大きいです。そこで思い切ってスタートを切れるようになってから、盗塁が成功するようになりました」

「足が速いということではなく『帰塁』が速いというふうに言ってもらったんです。そこで自分に『オレは帰塁がうまいんだ』と思わせることができました。一塁へ帰塁しなければという不安がなくなり、あとはスタートを切るだけ、という状態になり、スタートがうまく切れるようになりました。自分は帰塁がうまいんだから、と思うことで、それ以外のことは意識をしなくてよくなり、スタートだけに集中できたんだと思います。スタートすることに勇気が出たという感じです」

鋭いスイングを備える


 16日の準々決勝・イタリア戦以降は対戦する投手のレベルが上がる。同戦は源田が復帰したが、決勝ラウンドでは優勝候補のアメリカなどに平均球速150キロを超える投手たちがズラリとそろう。

「中野は俊足だけでなく、150キロ以上の直球に強いのが大きな強みです。身長171センチと小柄ですが、スイングが鋭く速い球をきっちり引っ張れる。国際試合向きの選手だと思いますよ」(前出のスポーツ紙記者)

 鈴木の穴を近藤が補って余りある活躍を見せているように、中野も侍ジャパンのシンデレラボーイになれるか。

写真=BBM
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