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【大学野球】好投手を輩出し続ける亜大 エースとして期待される150キロ右腕・草加勝が飛躍した3の理由

 

卒業後の「プロ志望」を明言


亜大の4年生・草加は大学卒業後のプロを志望する


 亜大は毎年、好投手を輩出する。2022年のドラフトでは青山美夏人(西武)、松本晴(ソフトバンク)、21年は岡留英貴(阪神)、20年は平内龍太(巨人)、内間拓馬(楽天)と3年連続でピッチャーが指名を受けている。

 逸材が育つ土壌。恵まれた施設でトレーニング、栄養、休養の3本柱が充実しているのが背景にある。

 もう一つの特徴として、高校時代は決して目立った存在ではなくても、大学4年間のたたき上げで、急成長する環境があるということ。23年のエースとして期待されるのは150キロ右腕・草加勝(4年・創志学園高)だ。

 大学卒業後の「プロ志望」を明言しているが、飛躍したのはなぜか。3つの理由がある。

「努力家」という根柢がある。

 リーグ戦デビューは2年春も、わずか1試合の登板に終わった。2年秋、3年春は登板機会がなく、昨年6月、20年ぶりに大学日本一を遂げた全日本大学選手権もベンチ外で、神宮のスタンドで歓喜を味わっている。

「力がなかった。それだけです」

 猛暑の夏場の練習。自分がチームのために貢献できることは何か。草加は毎日、打撃投手に入った。1日300球以上、5日続けて投げることもあった。「投げるのが、好きなんです」。強じんな地肩と制球力がついた。紅白戦で結果を残し、3年秋にチャンスをつかむと、リーグ戦初勝利を初完封で飾った。キレの良い真っすぐにカーブ、スライダー、ツーシームを低めに集める。ブルペンにおける鍛錬の賜物だ。7試合で31回1/3を投げて失点1(自責点1)で最優秀防御率(0.29)を受賞した。

同級生ライバルの存在


 そして、草加を支えているのは、同級生ライバルの存在だ。

 高校時代は2年夏の甲子園に出場しているが(背番号11)、草加の登板機会はなかった。すでに下級生エースとして躍動していたのは、西純矢(現阪神)だった。3年春は、西を起用しないというチーム事情で、草加に登板機会が巡ってきた。県大会初戦(2回戦、対岡山東商高)では、12回完投勝利。夏へ向けて弾みをつけたが、3年夏は準決勝敗退まで5試合、草加の出番はなかった。

「いつでも行けるように準備はしていましたが、自分には力がなかったということです」

 その秋、西は阪神からドラフト1位指名を受けた。チームメートのプロ入りは素直にうれしかったが、一方で「うらやましい。悔しい思いもあった」と明かす。「レベルの高いところでプレーしたい。4年後にプロに行きたい」と、投手育成に定評のある亜大に進学した。

 いよいよ、2023年はドラフトイヤーである。

「西は一つの目標。並びたい。越えたい。でも今のままでは無理。しっかり練習したい」

 草加の原動力は「反骨心」である。2023年春。東都大学リーグ戦で、まずは「一部残留」のために腕を振る。試合まではレベルアップのため、誰よりも汗を流す。だからこそ、チームメートから全幅の信頼を得られるのだ。

文=岡本朋祐 写真=大賀章好
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