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メジャーが熱視線 「村上と劣らない能力」と評する侍ジャパンのスラッガーは

 

イタリア戦で5打点の活躍


イタリア戦で猛打を発揮した岡本


 WBC準々決勝でイタリアに9対3と快勝した侍ジャパン。その立役者は「六番・一塁」でスタメン出場した岡本和真(巨人)だった。

 3回に1点を先制してさらに二死一、二塁の好機。左腕のジョー・ラソーラに2ボール2ストライクと追い込まれたが、6球目の外角のスライダーに泳ぎながらも、左手一本で左翼席に運ぶ技ありの3ラン。5回無死二、三塁の好機でも右中間にダメ押しの適時二塁打を放った。2つの四球を選ぶなど、全4打席で出塁して5打点の大活躍。試合後のお立ち台では「岡本節」でスタンドを沸かせた。「最高です!」を5度繰り返し、決勝ラウンドに向けて侍ジャパンの代表として意気込みを問われると、「えー、もう……」と苦笑いを浮かべたが、「最高です!」と締めくくり球場が笑いに包まれた。

 巨人を引っ張る26歳の和製大砲だ。2020、21年と2年連続本塁打、打点の2冠王を獲得。昨季は球団の生え抜きで史上3人目の5年連続30本塁打をマークした。だが、シーズン夏場に打撃不振で四番を剥奪されたこともあり、決して満足できる数字ではなかった。140試合出場で打率.252、30本塁打、82打点。同じ三塁を守り、ヤクルトの四番を張る村上宗隆が22歳の若さで史上最年少の三冠王に輝き、56本塁打で日本記録を樹立したことが、岡本を見る目をより厳しくさせていた。

果てしないスラッガーとしての資質


 意外なことに過去に五輪、WBCで出場経験がない。金メダルに輝いた21年の東京五輪でも選出漏れ。今回のWBCもメンバー入りで当落線上と言われたが、栗山英樹監督は高く評価して代表入りした。その期待に応え、壮行試合、強化試合で打撃の好調をキープ。外野も守るなど、フォア・ザ・チームで献身的な姿勢も目を引いた。今大会は準々決勝までの4試合に一塁でスタメン出場。途中出場となった1次ラウンド・チェコ戦は左翼を守った。

 バックネット裏から試合を見守ったメジャー関係者は、「岡本の評価はスカウト陣の間で高いですよ」と明かす。

「本塁打を打つ技術が高く、まだまだ伸びしろがある。スラッガーとしての資質は村上に劣らないと思います。岡本の強みは守備がうまいことです。本職の三塁だけでなく、一塁、外野も高い水準のレベルで守れる。複数のポジションを守れることは重要です。今回のWBCの活躍でメジャー各球団のスカウト陣の評価が上がったと思いますよ」

世界一奪回へのキーマン


 日本人メジャー・リーガーは投手が活躍しているイメージが強い。投打の二刀流でメジャートップレベルの活躍を見せている大谷翔平(エンゼルス)は別格として、ダルビッシュ有(パドレス)は侍ジャパンの投手陣の能力に太鼓判を押している。山本由伸(オリックス)がポスティングシステムでメジャー挑戦を表明した場合、複数球団による争奪戦は間違いないと言われ、佐々木朗希(ロッテ)、高橋宏斗(中日)、今永昇太(DeNA)にもメジャーが熱視線を送っている。

 ただ、野手の評価が低いと言われればそうではない。今大会は左脇腹痛で出場辞退した鈴木誠也(カブス)は、21年オフにポスティングシステムでメジャーへ。日本人野手として史上最高額となる5年総額8500万ドルの契約を結んだ。吉田正尚(レッドソックス)も昨年オリックスで26年ぶりの日本一に輝いたのを置き土産に、ポスティングシステムを利用し、鈴木を上回る5年総額9000万ドルの好条件でレッドソックスに移籍した。

 今年から巨人の主将に就任した岡本は今後、どのようなキャリアを歩むか。決勝ラウンドでも覇権奪回を目指す侍ジャパン打線のキーマンであることは間違いない。

写真=BBM
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