週刊ベースボールONLINE

2023センバツ

【2023センバツ】父は「当時から負けん気が強かった」 できる限りの全力プレーで勝利を呼んだ東邦・南出玲丘人

 

2月末の練習中に右足首を負傷


東邦高の正捕手・南出は4回表に2点適時打を放ち、守りでもチームの勝利に貢献した[写真=田中慎一郎]


【2023センバツ】
3月19日
東邦[愛知]6−3鳥取城北[鳥取]

 一塁側アルプスで落ち着かない時間を過ごしていた。東邦高の正捕手・南出玲丘人(3年)の父・貴昭さんは「病院からOKが出たとは聞いていましたが……。まったく、連絡もしてこおへんので……(苦笑)。スタメン発表で初めて知りました」。「七番・捕手」の先発メンバー発表を聞くと、ようやくホッとした。

 2月末の練習中に右足首を負傷した。対外試合解禁となる3月4日、南出はベンチに入らず、松葉杖をついていた。センバツ開幕まで約2週間。とても間に合う状況には見えなかった。

「ショックで3日間、食事もノドを通らなかったそうです。私自身も半分くらい、あきらめていました。ここまで回復するとは……。周りの方々のサポートのおかげ。感謝しかありません」(父・貴昭さん)

 南出は三重県松阪市出身。中日藤嶋健人が東邦高の主将だった2016年夏の2回戦(対八戸学院光星高)での大逆転劇を見て「グッときた。東邦でやりたい」と、進学した背景がある。小学校時代からマスクをかぶっていた。

「当時から負けん気が強かった。今回のケガも、本人は『やれる』と。まさに気合でした」

 鳥取城北高との1回戦(3月19日)。父・貴昭さんによると、南出は患部をテーピングで固めてグラウンドに立った。いま、できる限りの全力プレー見せた。1点リードで迎えた4回表無死二、三塁から詰まりながらも、右前へ落とす2点適時打。父・貴昭さんが明かす「根性の一打」だった。守りでも躍動し、1試合をフル出場した。

一塁側アルプス席で声援を送る南出の父・貴昭さん[写真=BBM]


 2020年4月から母校を指揮する山田祐輔監督は現役時代に捕手だっただけに、南出の思いは、自分のことのように理解していた。扇のカナメが確立したチームはブレない。4対0の裏に1点差とされるも、踏ん張った。東邦高は6対3で初戦突破。歴代最多5度目の優勝を飾った19年以来の勝利を飾った。4年ぶりの春日本一へ、攻守のキーマン・南出の存在感の大きさがあらためて証明された。

文=岡本朋祐 写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング