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打撃好調の巨人・小林誠司 正捕手は厳しいが「絶対に必要な存在」の理由とは

 

前回のWBCで攻守に奮闘


今季で10年目を迎えた小林


 正捕手奪取を狙う巨人・小林が課題の打撃でアピールしている。「九番・捕手」でスタメン出場した3月15日の・ソフトバンクとのオープン戦(PayPayドーム)では、5回に左前打を放つと、同点の8回に古川侑利の直球を振り抜き、左翼ポール際に決勝アーチ。同日時点ではオープン戦で打率.429と好結果を残している。

 スポーツ紙記者は正捕手争いについて、こう語る。

「昨年まで積み上げた実績を考えると大城卓三が正捕手に最も近い立場であることは揺るがない。WBCで不在の間に、小林、岸田行倫山瀬慎之助がどれだけアピールできるか。ただ、大城がWBCで実戦勘を養えていないことを考えると、調整期間を設けるために開幕は二軍スタートの可能性がある。他の捕手は実戦で結果を残し続けるしかない」

 かつて、小林もWBCで輝いた選手だった。準決勝・アメリカ戦で敗れた2017年の第4回大会に、侍ジャパンの正捕手として全7試合に先発出場。強肩と巧みなリードで投手陣を引っ張り、打撃でも20打数9安打、打率.450とチームトップの数字をマーク。1本塁打、6打点と勝負強い打撃で下位打線の核になり、攻守に存在感を発揮した。

 16年から4年連続リーグトップの盗塁阻止率をマークしたが、20年以降は下降線に。大城に正捕手を奪われ、昨年は60試合出場で打率.148、0本塁打、5打点。盗塁阻止率.214はプロ入り後自身ワーストだった。

球団OBの評価は


 巨人OBで野球評論家の廣岡達朗氏は昨年7月に週刊ベースボールのコラムで、伸び悩む小林について言及している。

「巨人は『打てる捕手』をとにかく使いたがる。基本的にリードが良くて、これで打てれば鬼に金棒だという捕手をスタメンに起用する選択肢があってもいいはずだ。小林は貧打を指摘されるが、彼は勘違いしているだけだ。バッターには、球に合わせにいくタイプと、球が来るのを待ってストライクなら打つタイプがいる」

「いまの巨人打線はヤマばかり張っている。ヤマを張った球に合わせようとする。(中略)小林に話を戻すと彼は肩も良い。それをなぜ、どうにかできないのか。たとえ打てなくても、シチュエーションによってはプッシュバントの効果を説明し、実行させれば戦力として使えるのだ。そういう指導が巨人はできない。みんな一発長打を狙っている。四球で出るという気がない。バッティングカウントのときはボールでもなんでも振っていく」

新境地を開拓できるか


 背水の陣で迎えた今年。小林が打撃でアピールしているのは首脳陣にとっても好材料だが、オープン戦は本番ではない。昨年のオープン戦も9打数4安打で打率.444だったことを考えると、現時点で打力が向上したと判断するのは早計だろう。

 スポーツ紙デスクは「小林は若いときより肩が落ちているが、経験を重ねて投手陣に与える安心感がある。これは捕手にとって大きな価値だと思います。昨年も途中出場で起用される機会が多かったが、接戦やリードした試合終盤に『抑え捕手』としてチームを勝利に導き、自分の価値を高めるのも生きる道だと思います。もちろん、打力がつけばさらに信頼感を得られる。正捕手が大城だとしても長いペナントレースを1人で乗り切れるわけではない。小林の力は絶対に必要になると思います」

 前回大会のWBCで強烈な輝きを放ってから6年。33歳となったが、まだ老け込む年ではない。4年契約最終年の今季。新境地を開拓できるか。

写真=BBM
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