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ヌートバーは次回WBCで侍ジャパンのクリーンアップ?「長距離砲で覚醒」の期待が

 

攻守走で高い集中力


侍ジャパンの世界一に貢献したヌートバー


 2009年の第2回以来、14年ぶり3度目のWBC優勝を飾った侍ジャパン。MVPは大谷翔平(エンゼルス)が選ばれたが、この男の活躍は野球ファンの胸を打つものがあった。全7試合に「一番・中堅」でスタメン出場したラーズ・ヌートバー(カージナルス)だ。

 攻走守でチームをもり立てた。1次ラウンドでは外野の好守でチームを救い、リードオフマンとして打線を牽引した。ヌートバーの魅力は打率だけでは測れない。その貢献度を表す指標が出塁率だ。今大会は打率.269をマークしたが、出塁率は.424とはね上がる。出塁する手段は安打だけではない。際どい球を見極め、2ストライクと追い込まれてもファウルでカットする。計7四球とチャンスメーク。凡打の内容も濃い。決勝・アメリカ戦では2回、同点に追いつき、さらに一死満塁の好機で2ストライクと追い込まれたが、ツーシームをバットに当てて一ゴロ。三塁走者・岡本和真が本塁生還し、この一打が決勝点となった。

 野球評論家の川口和久氏は週刊ベースボールのコラムで、ヌートバーの働きぶりと、今回のWBCで侍ジャパンに選出した栗山英樹監督の決断を高く評価している。

「初の日系人選手の招へいは、アイデアマンの栗山英樹監督らしいし、チームにもたらすプラス効果はあると思った。ただ、売り出し中の成長株というのは分かっていたが、カージナルスでの2022年の14本塁打、打率.228の成績を見て、ジョーカー的存在を期待しているのかなと思っていた。しかし、ふたを開けたら脇役どころか攻守の主役だ。目につくのは、打撃、守備、走塁すべてにおける集中力だ。表情豊かに楽しそうに野球をやっているのもいい」

「打撃では選球眼。韓国戦では3回裏、低めのスライダーを見極めたあと、次の甘い球をセンター前に運んだ。難しい球に手を出さず、甘い球を逃さないのは好打者の条件でもある。あとで2022年の出塁率が.340と高かったことを知ったが、長打はないものの打球スピードが速く、思い切りがよく、選球眼もいいとなれば、まさに一番打者として適任だ。守備でも連日、ファインプレーを見せているが、重圧がかかるゲームの中でも果敢さを失わず、球際の強さも頼もしい。(中略)日本野球にピッタリな選手だと思うし、それを見つけ出し、一番打者にはめた栗山監督の眼力を称賛したい」

伸びしろは十分


 ヌートバーはまだ25歳と若い。侍ジャパンでプレーする選手たちの中では伊藤大海(日本ハム)、高橋奎二(ヤクルト)と同世代だ。メジャーでも将来を嘱望される選手として期待度が高い。21年にメジャーデビューを飾り、昨年は108試合出場で打率.228、14本塁打、40打点。出塁率.340、長打率.448と高いのが大きな魅力だ。

 メジャーの選手のマネジメントを務める関係者は「侍ジャパンではヌートバーの出塁率の高さが評価されていますが、メジャーでは長打力も高く評価されている。将来的にはシーズンで30本塁打を打つ資質を持った選手です。4年後のWBCに選出された時は、クリーンアップを務める可能性が十分にある。伸びしろ十分の選手ですし、彼の全盛期はこれからですよ」と語る。

 WBCの前までは知られていない存在だったが、今大会で人気選手の代表格に。打席に入る際に「ヌーーート!」の掛け声がファンの間で定着し、ヌートバーが提案した「ペッパーミルパフォーマンス」も大流行した。何より日本のために熱く戦ってくれた姿が忘れられない。カージナルスでの活躍を願うと共に、侍ジャパンのユニフォームを再び身にまとってプレーするときが楽しみだ。

写真=BBM
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