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侍ジャパンで大活躍の岡本和真 他球団から「三冠王獲れる選手」の警戒が

 

長打力だけではない魅力


WBCで実力を発揮した岡本[左はヌートバー]


 晴れ晴れとした表情に、たくましさを感じた。WBCで2009年の第2回大会以来14年ぶりに頂点に立った侍ジャパンの選手たちが3月23日に帰国。成田空港近くのホテルで優勝帰国会見を行った。中軸として活躍した岡本和真は今大会で一番印象に残っている場面を聞かれ、「僕はマジでもう……(決勝戦で)ゲームセットになった瞬間がもう何より印象に残っていますし、僕自身は、野球ってこんなに楽しかったんだなと思いました。めっちゃうれしかったです」と笑った。

 村上宗隆(ヤクルト)、吉田正尚(オリックス)と違い、侍ジャパンでレギュラーを確約されている立場ではなかった。だが、自身初のWBC初出場で期する思いが強かったのだろう。大会前の壮行試合、強化試合でチーム初アーチを放つなど好調な打撃でアピール。本大会では一塁でスタメン出場し、貴重な一打でチームの勝利に貢献した。準々決勝のイタリア戦で3回に1点を先制してさらに二死一、二塁の好機で、左腕のジョセフ・ラソーラ(レイズ傘下)から左翼席へ3ラン、5回にも右中間へ2点適時二塁打を放つなど5打点の大活躍だった。決勝・アメリカ戦でも1点リードの4回にカイル・フリーランド(ロッキーズ)から、貴重な追加点となる3点目の左中間ソロ。三塁ベンチで手荒い祝福を受けると、村上と熱い抱擁を交わした。

 岡本の魅力は長打だけではない。今大会は打率.333、2本塁打、7打点をマークし、9四死球をマーク。国際試合でストライクゾーンの違いに戸惑う選手が多い中、きっちりボール球を見極めていた。出塁率と長打率を足し合わせたOPSは1.278。この数値は大会新記録の13打点をマークした吉田正尚(レッドソックス)の1.259を上回る。守備でも本職の三塁は村上が守ったため、一塁を任されたが見事なハンドリングとグラブさばきを披露。1次ラウンドのチェコ戦では途中出場で左翼を守った。チーム事情に合わせ、内外野と様々なポジションを守れる。首脳陣にとってこれほどありがたい存在はいなかっただろう。

三冠王と甲乙つけがたい力量


 今月31日に開幕するプロ野球でも、巨人の中心選手として活躍が期待される。今季から坂本勇人に代わり、新主将に就任。球団OBの堀内恒夫氏は週刊ベースボールのコラムで、主砲への期待を綴っている。

「岡本は坂本と違い、どちらかと言えば、一歩下がって行動を起こすタイプだからね。坂本のように常に前へ出て行く性格ではない。兄弟に例えるなら、長男ではなく、兄貴の言うことに従う次男坊といったところかな。でも、キャプテンに就任することによって、自ら前へ出なくてはいけなくなった。だから、岡本がよりいっそう飛躍するためにもキャプテン就任はよかったのではないかと、俺は思うね」

「昨季のヤクルト・村上宗隆は、『村神様』と呼ばれるほど神懸かり的な大活躍を見せて、22歳で史上最年少の三冠王を獲得した。でも、サードの守備は岡本のほうが上だよ。その証拠に昨季のゴールデン・グラブ賞には、2年連続で岡本が選ばれているからね。要するに打席の左右の違いこそあれ、村上と岡本は甲乙つけがたい、遜色のない力量があるということだよ。だから、今季は岡本が村上に代わって三冠王を獲得することも、十分に可能だ」

巨人で覇権奪回へ


世界を相手にも長打力を見せつけた


 20、21年に本塁打、打点王を獲得し、昨季は四番を剥奪と不本意なシーズンだったが5年連続の30本塁打を達成している。全143試合出場した18年に打率.309をマークするなど、決して確実性のない打者ではない。他球団のスコアラーも「岡本の打撃技術は間違いなく球界トップクラス。昨年も状態が悪いと言われながら30本塁打をクリアしていますからね。スランプの時期が短くなれば、三冠王も十分に狙える強打者です。厳しいコースを突いていかないと抑えられない」と警戒を口にする。

 巨人で覇権奪回へ。WBCで世界一に輝いた自信を胸に、新たな戦いに挑む。

写真=Getty Images
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