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国際試合で安定感はピカ一 日本ハムの3年目右腕に「侍ジャパン次期エース」の期待

 

総合力の高い投手


WBCで好投を繰り広げた伊藤


 2009年の第2回大会以来14年ぶりのWBC世界一に輝いた侍ジャパン。その原動力は投手陣だった。決勝・アメリカ戦は象徴的な試合だっただろう。7人の継投策で、ムーキー・ベッツ(ドジャース)、マイク・トラウト(エンゼルス)、ポール・ゴールドシュミット(カージナルス)、ノーラン・アレナド(カージナルス)ら強打者がそろった強力打線を2失点に抑えた。もちろん簡単に抑えられる打者たちではない。毎回走者を背負うピンチの連続だったが、唯一三者凡退に抑えた右腕がいた。伊藤大海(日本ハム)だ。

 伊藤は2点リードの6回に登板。この大会絶好調で2回に今永昇太(DeNA)から先制ソロを放ったトレイ・ターナー(フィリーズ)を外角低めのスライダーで左飛に仕留める。続くJ.T.リアルミュート(フィリーズ)をスプリットで三ゴロに打ち取ると、セドリック・マリンズ(オリオールズ)を2ボール2ストライクから151キロの直球が外角低め一杯に決まり空振り三振。右拳で派手なガッツポーズを見せて雄叫びをあげた。

 今大会で侍ジャパンのメンバーに日本ハムから唯一選出された右腕は、150キロを超える直球と多彩な変化球を操り総合力が高い。最大の魅力は大舞台で物怖じしない強心臓だ。準々決勝・イタリア戦でも試合のカギを握る場面で登板し、きっちり抑えている。先発の大谷翔平(エンゼルス)が5回に連打で2点を失い、2点差に迫られてさらに二死一、三塁のピンチで救援登板。ブレット・サリバン(パドレス)に対して7球中6球が直球と強気の投球を繰り広げる。最後は153キロの直球で遊飛。イタリア打線の反撃を断ち切った。

「伊藤はどんな場面でも自分の投球ができるので、首脳陣は勝負どころで起用できる。今回は救援の役割でしたが、侍ジャパンの次期エースになれる可能性を秘めた投手だと思います。意識が高い投手なので、今年1月に合同自主トレを行ったダルビッシュ有(パドレス)、大谷と共に侍ジャパンでプレーして新たな発見がたくさんあったでしょう。今後の活躍が楽しみです」(スポーツ紙記者)

堂々たるマウンドさばき


 プロ1年目の21年から2年連続2ケタ勝利をマーク。当時新人ながら21年の東京五輪のメンバーに選出され、3試合の救援登板で無失点と好投して金メダル獲得に大きく貢献した。野球ファンの印象に残っているのは、準決勝・韓国戦でのマウンドさばきだろう。同点の7回に登板すると、二死無走者で迎えた韓国の一番打者・パク・ヘミンが打席を外して審判に訴える。伊藤が投げるたびにロジンの粉が舞い上がるのでボールが見えにくいというクレームだった。だが、伊藤は動じない。直後にたっぷりと右手にロジンを付けて平然と投げ続けた。7、8回と2イニングを無失点に抑え、9回に決勝点となる山田哲人(ヤクルト)の満塁の走者一掃の適時二塁打を呼びこんだ。

 侍ジャパンで世界一の余韻に浸りたいところだが、プロ野球のシーズンが開幕する。伊藤は1月にダルビッシュとの合同自主トレを終えた際、「最初はガチガチで話しかけて頂いた言葉に反応するので精一杯でした。友達とは恐れ多いですが弟子入り出来て嬉しいです ダルさんに憧れてピッチャーを目指してピッチャーとしてプロの世界に入って一緒に過ごした時間は宝物です。今回学んだ事を今シーズンフルに活かして戦います」と自身のツイッターでつづっている。日本ハムのエース、球界を代表するエースを目指して右腕を振り続ける。

写真=Getty Images
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