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2023センバツ

【2023センバツ】目標の「1082 21」を逃した広陵 次に目指すのは「721」

 

応援団長の思い


広陵高の応援団長・松本朱央は力の限り、声援を送った


「1082 21」

 広島市安佐南区にある、広陵高グラウンドのスコアボードの表の欄に掲示された数字である。何を意味するのか。広陵高の応援団長・松本朱央内野手(3年)はハキハキと答えた。

「センバツ、日本一、です」

 母校を率いる中井哲之監督は、熱き思いを数字にするこだわりがある。学校所有のマイクロバス5台のナンバーは「5040(甲子園)」だ。

 応援団60人のTシャツの背中には、中井監督の直筆の「ありがとう 21」がプリント。「ありがとう」は広陵高校野球部におけるお守りのような言葉で「21」は、もちろん「日本一」である。

 松本団長は福岡県出身。「知り合いに広陵OBの藤川俊介さん(元阪神)がいまして、人として成長するにはここしかない、とアドバイスを受け、決めました」。内野手の松本は昨秋のベンチ入りメンバーから外れると「チームのために貢献できることは何か」と、中国大会を前に応援団長に立候補した。広陵高では控え部員が応援を仕切る流れがある。

 13年ぶりに進出したセンバツ準決勝で、山梨学院高に敗退した(1対6)。1対1の9回表に5失点。厳しい展開となっても、三塁側アルプス席は勝利を信じて、声援を送った。

応援団60人のTシャツには中井監督の直筆の「ありがとう 21」がプリントされている


 なぜ、ここまでチームのために献身的になれるのか。松本団長は、姿勢を正して言う。

「キャプテンの(小林)隼翔に、安心感がある。信頼できる人間だからです。生活面がしっかりしていて、人の嫌がることも率先して動く。部員全員が『隼翔について行こう!』という空気感になっています」

 あと2勝で、目標の「春日本一」を逃した。まだ、夏がある。松本団長は力を込める。

「日本一にこだわっている。大阪桐蔭さんは(報道を通じて)『日本一の練習をしている』と聞きましたが、広陵は生活面から日本一を目指しています」

 学校、グラウンド、寮が同じ敷地内にあり、中井監督を「父」と慕い、家族のような絆を育むのが広陵高校野球部の伝統である。高校3年間で、男を磨く場所だ。

 毎年、夏の地方大会前になると、グラウンドのスコアボードには「721」が掲示される。

 その意味は「夏、日本一」である。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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