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巨人の「一番・左翼」はオコエ瑠偉と梶谷隆幸の争い 他球団が分析する「厄介な選手」は?

 

オープン戦で躍動


開幕戦でスタメン出場を果たしたオコエ


 3年ぶりの覇権奪回を目指す巨人が迎えた3月31日の開幕・中日戦(東京ドーム)。左翼の開幕スタメンを勝ち取ったのは、昨オフに現役ドラフトで楽天から移籍したオコエ瑠偉だった。

 昨年12月に行われた入団会見で、オコエは「あとがない気持ちで頑張りたい。入団した以上、後は自分次第で結果を出すか出さないか。まずは開幕一軍を目標に置いて、このシーズンオフから取り組んでいきたい」と神妙な表情で語っていた。背水の陣で迎えた新天地で、調整期間という思いはなかっただろう。春季キャンプで一軍スタートとなり、居場所をつかむために必死だった。その執念が今までのオコエにかけていた部分だったかもしれない。オープン戦15試合で42打数13安打、打率.310の好成績をマーク。スピード感あふれるプレースタイルを取り戻し、リードオフマンとして躍動した。

 楽天在籍時からオコエを取材するスポーツ紙記者は、「今までも一生懸命だったとは思うが、プレーに集中しきれていないように感じるときもあった。オコエの持ち味は俊足です。楽天のときはパワーをつけるために肉体改造を行ったり、自分の持ち味を見失っていた。巨人で中田翔岡本和真と長距離砲を間近で見て、自分の生きる道が明確になったのでは」と分析する。

育成から支配下復帰


 もちろん、レギュラーが確定したわけではない。ここからが本番だ。オコエは結果を出し続けることが求められる中、もう1人の男も試練からはい上がろうとしている。育成契約から開幕前に支配下昇格した梶谷隆幸だ。

 2020年オフにDeNAからFA移籍。俊足と長打力を兼ね備えたプレースタイルでチャンスメーカーとして期待されたが、度重なる故障に泣かされる。21年7月に右手中指骨折で戦列を離れると、9月に腰痛を発症。10月に腰椎椎間板ヘルニアの手術を受けた。リハビリに打ち込んでいたが、昨年3月に左膝痛を発症。5月に左膝内側半月板縫合手術を受け、一軍出場なしに終わった。

 FA移籍の際に4年契約を結んでいたが、育成選手で異例の再契約。焦りは禁物だが、必死だった。3月5日の教育リーグ・西武戦で1年半ぶりに実戦復帰を果たすと、24日に支配下に復帰。26日の楽天戦(東京ドーム)で2回二死三塁の好機に、バニュエロスのカットボールを中前に運ぶ適時打を放った。21年7月8日の中日戦(東京ドーム)以来626日ぶりの安打に球場からは大きな拍手が。6回にも中前打を打ち、左翼の守備でも7回に浅村栄斗のフェンス際の大飛球をジャンプして好捕した。

支配下に復帰して開幕一軍を勝ち取った梶谷


 他球団のスコアラーは「オコエと梶谷を左翼で併用していく感じになるんじゃないですかね。能力的に言えば、一軍で経験値がある梶谷の方が厄介ですが、オコエも昨年までの姿とはまったく違う。体のキレが良くなり、スイングが鋭くなっている。塁に出すと足があるので勢いづかせたくないですね」と警戒を強める。

 開幕戦に「一番・左翼」でスタメン出場したオコエは4打数無安打に終わり、梶谷は3点差を追いかける9回二死に代打で登場し、中飛に倒れた。シーズンは長い。野球をできる幸せをかみしめながら、ダイヤモンドを疾走する。

写真=BBM
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