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【高校野球】早実の190センチ右腕・荒川稟治郎 理想の投手像は佐々木朗希「この夏には絶対的な存在に」

 

試合の流れを渡さない投球


早実の2年生右腕・荒川は東海大高輪台高との東京大会2回戦で好救援し、初戦突破に貢献した


 早実の2年生右腕・荒川稟治郎は、常に明確な目標を掲げている。一冬の課題として取り組んできたのは「制球力の安定」。春の初戦でその成果を出した。東海大高輪台高との春季東京大会2回戦。3対2と勝ち越された3回表一死満塁で救援した。最初の打者は左犠飛で1点を追加されるも、後続を抑えて、ピンチを脱した。

 荒川は4回以降、安打を許さず、リズムの良い投球で、試合の流れは早実へ。5回裏に4対4に追いつくと、8回裏に山本蒼空(3年)の犠飛で勝ち越し、三番・宇野真仁朗(2年)の3ランで突き放した。荒川は8回に1安打を許したのみで、9回も3人で抑え、逃げ切った(8対4)。190センチの長身から繰り出される最速138キロのキレの良いストレートに、変化球はカーブ、フォーク、ツーシームを交え、相手打線に的を絞らせなかった。

「難しい場面からのリリーフだったので、抑えることしか考えていなかった」

 背番号17の荒川は6回2/3を投げ、無四球と安定感抜群だった。小学校6年時に158センチだった身長は中学3年間で187センチに成長。高校1年間でも3センチ伸びた。「特別、何かをやったわけではないんです(苦笑)。両親に感謝です」。相撲、ラグビー、野球に親しんだ父と、ソフトボール経験者である母のアスリートのDNAを継いだ。京都府出身。男山東中時代は北摂シニアに在籍し、3年夏の全国大会16強。シニア日本代表でもプレーした。「文武両道。双方とも高みを目指したい。経験豊富なある和泉(実)監督の下で、甲子園優勝を目指したい」と早実に進学した。

 1年夏の西東京大会から背番号19でベンチ入りし、東海大菅生高との準々決勝で救援登板。昨秋の東京大会2回戦(対日本ウェルネス)でも好救援を披露し、実績を重ねていた。

 そして、今春の初戦でまた一つの信頼を得た。荒川は「この夏には、絶対的な存在になりたい」と目を輝かせる。なぜ、最上級生にピークを合わせるのではなく、2年生夏なのか。

「今まで、あまり周囲には言っていないことなんですが……。自分自身がレベルアップする上で、先輩を抜くことに意味があると思います。2年春の段階でチームの中心にいたい」

「9回を投げ切る投手を目指します」


190センチ79キロと体格に恵まれており、好きな投手はロッテ佐々木朗希


 理想の投手像はロッテ・佐々木朗希だ。

「本格派投手を目指しています。高校3年までには150キロを超え、変化球で空振りを取り、フォークで三振を奪う。佐々木投手のように、いろいろな球種を操る投手になりたい」

 今大会は6投手がベンチ入り。早実・和泉監督は「今の野球は、投球制限がある。斎藤佑樹みたいなことでは勝てない(2006年夏の甲子園は7試合をほぼ一人で投げて全国制覇)。軸となる投手は必要ですが、何人かゲームを作れる子がいないと上位には進出できない」と語る。夏に向けてチーム内競争は激しくなるが、荒川が有力候補の一人であることは間違いない。「荒川はスタミナが課題。春ですから無理はさせられない。様子を見ながらになります」と、次戦以降への見通しを語った。

「秋はベスト16でしたので、この春は優勝します。9回を投げ切る投手を目指します」(荒川)

 190センチ右腕には計り知れない可能性がある。「身長はまだ、伸びているかもしれません」と笑顔で語る荒川。潜在能力抜群で向上心も旺盛があり、今後の成長から目が離せない。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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