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【高校野球】3ラン、満塁弾で初戦突破に貢献 桐蔭学園の四番・中野竣介は「チームのための一本」を追い求める

 

練習の成果が出た一発


桐蔭学園高の四番・中野は1試合2本塁打[3ラン、満塁]の7打点で初戦突破に貢献。185センチ96キロの右の強打者である


 春季神奈川県大会が4月8日に開幕した。1、2回戦24試合が行われ、桐蔭学園高は相模原弥栄高との初戦(2回戦)を16対10で勝利した。序盤で最大5点のリードを奪ったが、5回裏に6対6追いつかれる展開。終盤3イニングで10点を挙げて力の差を見せつけたものの、県立の実力校を相手に苦しんだ。

 桐蔭学園高・片桐健一監督は「大会の入りは難しい戦いになることは予想していた。弥栄さんは、力があることは分かっていますので……。理想の形ばかりを求め過ぎず、結果的に勝ち切れたのは良かった」と振り返った。

 7打点を挙げて、勝利に貢献したのは右打者の四番・中野竣介(3年)である。2回表に中越えの3ラン、9回表には右中間最深部へ満塁弾を放った。片桐監督は「ホームランは最高の形。練習のときから心がけていることができた。個でやっているのではない。上位打線が出塁したことで、中野に良い流れがきた」と過程を重視し、あくまでもチーム全体でつかんだ本塁打であると強調した。

 まさしく、練習の成果が出た。中野は言う。

「能力が高かった1学年上の先輩の代(巨人相澤白虎が主将)は冬の間、遠くに飛ばそうということで取り組んできました。自分たちは力がないので、いかにつないでいくか。打撃練習でもゲームを想定して、打つべきボールの選択も、考えて取り組んできました。今日の打席もゾーンを上げて、変化球狙い。(1本目は)チェンジアップ、(2本目は)スライダーをうまくとらえることができました。2本目は追い込まれていたので、最低でも外野にフライを上げて1点。ボールを引きつけて、内からバットを出しました。最高の結果が出て良かったです」

 愛知県出身。中学時代は東海中央ボーイズでプレーした。寮生活で自立すること、関東への大学進学を見据え、桐蔭学園高へ進学。2年秋の地区予選からベンチ入りするも、県大会は体調不良により、出場することができなかった。今春の地区予選から四番に定着し、鶴見大付高戦で公式戦初本塁打。県大会でも好調を持続し、この日は初の1試合2本塁打で、高校通算10本塁打とした。

「自分としては、初めての県大会。昨秋は悔しい思いをしたので、今日は結果を出すことができて良かったです」

 好きな選手は「地元が愛知なので、中日石川昂弥選手を応援しています」と、左右に長打を打つ右のスラッガーを目指している。この日の2本塁打は、将来性の高さを感じさせる、滞空時間の長いアーチだった。桐蔭学園高はDeNA森敬斗が主将として在籍していた2019年春のセンバツに出場しているが、夏の甲子園出場は1999年が最後。185センチ96キロの中野は名門校の四番として、3回戦以降もチームのための一本を常に頭に入れて打席に立つ。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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