週刊ベースボールONLINE

首都大学リポート

デビュー戦で洗礼を浴びた東海大の1年右腕・米田天翼 “成長できる環境”で狙う4年後のドラフト1位【首都大学リポート】

 

「日本一を目指して戦う」


東海大の1年生右腕・米田は早くも貴重な戦力として、登板機会を手にしている


【4月9日】一部リーグ戦
桜美林大7−4東海大
(桜美林大2勝)

 首都大学リーグ第2週2日目。前週の開幕カードは筑波大と1勝1敗のタイで終えた東海大。1回戦を落とし、2回戦は延長11回の末に勝利を手にしたものの、10回までノーヒットと苦しんだ。

 第2週の桜美林大1回戦(4月8日)は打線が奮起し14安打で6得点を奪ったが、終盤に逆転負け(6対7)。今度は故障者を抱える投手陣に、不安の影が差している。

 苦しい台所事情のなかで期待されているのが米田天翼(1年・市和歌山高)だ。東海大・井尻陽久監督は「ボールに強さがありますし、いろいろな変化球を持っている」と評価しているが、現在の球種を米田に確認すると真っすぐに加え「カーブとスライダー。それも横に曲がるスイーパー、斜めに曲がるスラーブ、伸びあがるようなボールのカッター、カットボール。そして、ツーシームとスプリットです」とまさに、七色の変化球を操っている。

 米田は市和歌山高時代、センバツ甲子園に2回出場。昨春は佐々木麟太郎を擁する花巻東高(岩手)を相手に完投勝利を挙げるなど、ベスト8進出。夏は甲子園に届かなかったが、最速150キロに達した。プロ志望届を提出するものの指名はなく、東海大へ進学した。

「東海大は勝ってきたチーム。そして、歴史あるチームなので、その一員として自分も日本一を目指して戦っていきたいです」

 オープン戦は好調だった。

「4試合に登板し、すべて救援で1イニングくらいだったので合計して5回くらいしか投げていませんが、ヒットは1本しか打たれませんでした。どの球種も割合良く投げられて、通用する手応えを感じました」

 満を持してのリーグ戦デビューとなったのが、桜美林大2回戦(4月9日)。3対1とリードをした6回表一死二、三塁の場面だったが、まずはワンバウンドのスライダーを振らせて空振り三振。「最初のバッターはうまく抑えられました」と二死までこぎつけた。

 だが、「緊張はしていなかったのですが、少しのまれていたかもしれません」と、ここから制球を乱し、バッテリーミスで1点差。なおも「ストレートが走っていなかったのでカウントが不利になり、ストライクを取りにいったボールを打たれてしまいました」とライトオーバーの同点打を打たれ、「ストレートの球威が落ちるととらえられてしまう。やっぱり大学はレベルが高いと感じました」と洗礼を浴びた。

「小園さんのようなピッチャーになりたい」


 東海大は6回裏に1点を勝ち越し。米田は7回表も続投したが、味方のエラーもあり、再び追いつかれた。ここで無念の降板となった。井尻監督は「できればランナーがいないところで投げさせたかった。ただ、ブルペンでは良いボールを投げていますし、これから成長してくれると思います」と話していたが、その言葉のとおり、井尻監督の期待はピンチの局面でスイッチしたことや失点しても続投させたことに表れている。

 一方の米田は「大事な場面でマウンドへ送られている以上、ああいうピンチの場面でも抑えなければいけなかった。マウンドに上がる時、高校の先輩でもある岩本真之介さん(3年・市和歌山高)から『思い切って行け』と言われたのですが、後ろに岩本さんも控えていたのでもっと積極的に行けば良かったと思います。自信を持って試合に臨んだのですが、リーグ戦はオープン戦とは違いました」と反省しきりだった。

 東海大は9回表、3点の勝ち越しを許し、桜美林大に痛恨の連敗(4対7)を喫した。

「勝ち点を落としてしまい、これからの試合は絶対に負けられないので、何が何でも抑えたい」とあらためて闘志を燃やしていた。

 大学生活は始まったばかり。米田には高いモチベーションがある。「高卒でプロへ行けなかったので、4年後はドラフト1位で指名されるように頑張りたいです。プロへ行くにはストレートが良くないと。今日は打たれてしまいましたが、ストレートを磨いていきたい」と抱負を語った。

 市和歌山高で1学年上の先輩・小園健太(DeNA)は、プロの世界でプレーしている。

「オープン戦で抑えている姿を見ました。小園さんはマウンドでの立ち居振る舞いが勉強になりますし、いつでも落ち着いていて自分の投球ができる。小園さんのようなピッチャーになりたいです」と刺激を受けている。

 全国屈指のレベルである東海大でも、先輩たちに恵まれ、成長できる環境が目の前にある。

文=大平明 写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング