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ロッテ・澤村拓一の腕組み&ドヤ顔が話題に 自信みなぎる姿に「巨人時代と別人」の声が

 

ファンの心をつかむ存在


マウンドで躍動している澤村


 個性的な振る舞いでファンの心をつかむ選手は貴重な存在だ。ロッテ澤村拓一は、まさに「オンリーワン」の存在だろう。長髪を縛り、ひげを蓄えた眼光鋭い風貌は武士を彷彿とさせる。本拠地・ZOZOマリンではリリーフカーを使わず、右翼から走ってマウンドへ。実力も申し分ない。

 4月14日のオリックス戦(ZOZOマリン)で、2対0の9回に登板。先頭打者の太田椋に150キロを超える直球で2ストライクと追い込み、4球目の鋭く落ちるスプリットで空振り三振に取る。続く茶野篤政は4球すべて直球で左飛。レッドソックスでチームメートだったマーウィン・ゴンザレスも2球目の152キロ直球で中飛に仕留めると、マウンド上で腕を組む仁王立ちにドヤ顔で打球に行方を守り、捕球を見届けてガッツポーズ。WBCでメキシコ代表としてプレーしたランディ・アロザレーナ(レイズ)を彷彿とさせるパフォーマンスに、ロッテファンは大盛り上がりだった。

 巨人で先発、抑えとして実績を積んだが、制球難で一軍に定着できなかった2020年途中にロッテへトレード移籍。剛速球右腕は新天地で輝きを取り戻した。22試合登板で2勝1敗13ホールド、防御率1.71。同年オフにレッドソックスへFA移籍すると、2年間で通算104試合登板し、6勝2敗13ホールド、防御率3.39をマーク。レッドソックスを退団し、日本の複数球団が獲得に興味を示したが、澤村はロッテ復帰を決断した。

「優勝のカギを握る選手」


 MLB公式球から、NPB公式球に対応するのは決して簡単ではない。過去にメジャーから日本球界復帰した投手の中にも、球を操ることに苦心したケースは決して少なくなかった。澤村は4月8日の楽天戦(ZOZOマリン)では8回にマイケル・フランコに逆転3ランを被弾。直後に平沢大河が再逆転の2ランを放ち、移籍後初白星が転がり込んできたが、悔しい気持ちは当然あっただろう。修正能力の高さも一流の証だ。12日の西武戦(ベルーナ)を三者凡退で無失点と2ホールド目を挙げると、14日のオリックス戦は抑えに抜擢の期待に応えて3年ぶりのセーブを挙げた。

 スポーツ紙記者は、「トレードでよみがえった選手の好例です。巨人最終年で本来の力を出せなかった姿と別人です。ロッテのスタイルがフィットするのでしょう。もともと気持ちが強く、期待されると意気に感じるタイプ。野球に向き合うストイックな姿勢も若手選手たちの良きお手本です。巨人時代に優勝を経験していますし、優勝のカギを握る選手です」と期待を込める。

キンブレルにあこがれて


 先発から救援に転向した15年。当時の澤村は週刊ベースボールのインタビューで、ブレーブスの守護神を務めていたクレイグ・キンブレル(現フィリーズ)の動画を熱心に見ていることを明かしていた。その理由を聞かれ、「“世界一のクローザー”と言われているからです。僕と歳が同じなんですが、何が世界一なのか、興味があるじゃないですか。球は速いし、スライダーは切れる。試合が終わった瞬間の、『オラ、ボケ!』みたいな強い精神力というか、気合の入った感じも好きですね。僕はあんなにスライダーは曲がらないですし、160キロも出ないですけど、カッコいいですし、参考にというか、刺激にしています」と語っていた。

 あれから8年の月日が流れた。澤村の闘志あふれる投球スタイルは凄みを増している。18日の日本ハム戦(エスコンF)では3点リードの8回に登板し、三者凡退と完ぺきな投球で今季3ホールド目を挙げた。チームを頂点に導くため、右腕を振り続ける。

写真=BBM
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