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中日に希望の光 四番・石川昂弥が復帰で、「チームがガラッと変わる予感」の声が

 

一軍復帰で即四番


中日の四番として光るバッティングを見せる石川


 この男は四番が似合う。左膝前十字靱帯不全損傷から復活した中日の石川昂弥だ。

 4月14日の巨人戦(バンテリン)で、約1年ぶり戦列復帰。復帰戦で自身初の四番に抜擢されたことが、立浪和義監督の期待の大きさを物語っている。7回に鍵谷陽平のツーシームを左翼線へ運ぶ二塁打。チームも9得点で快勝した。16日の同戦では、2回二死三塁の好機で赤星優志の内角高めに食い込むシュートにバットを折られながら、一塁に激走。内野安打で貴重な5点目を叩き出した。泥臭い打球でも走者をかえすのが、四番の役割だ。5回無死一塁では、左腕・代木大和の直球を中前へ運び、復帰後初のマルチ安打。7対5と快勝して今季初のカード勝ち越しを飾り、最下位から脱出した。

貧打が長年の課題の中日


 中日は貧打が長年の課題だ。今季も開幕10試合で4度目の零封負け。ダヤン・ビシエド、新外国人のアリスティデス・アキーノ、3年ぶりに中日復帰したソイロ・アルモンテが四番で起用されたが、機能しない。苦しい状況で四番を託されたのが石川だったが、打線の起爆剤になっている。

 スポーツ紙記者は「石川が四番に入って、チームの雰囲気がガラッと変わる予感がします。これからの選手ですが、四番のオーラを感じさせる。大島洋平岡林勇希とチャンスメーカーはいるので、石川が稼働すれば得点力が一気に上がる。間違いなく打線のキーマンです」と期待を込める。

 入団以来、度重なる故障に泣かされてきた。昨年5月27日のオリックス戦(京セラドーム)の4回に三ゴロに倒れた際、一塁手との接触を避けようとして左膝を負傷。登録抹消され、左膝前十字靱帯再建術を決断した。長いリハビリの末、今月6日の二軍戦で実戦復帰。5試合で11打数6安打、打率.545、2本塁打、4打点と格の違いを見せ、精悍になった表情で一軍に戻ってきた。

 高卒4年目の21歳。「まだ4年目」とは本人も思っていないだろう。同世代の佐々木朗希(ロッテ)、宮城大弥(オリックス)は球界を代表する投手となり、侍ジャパンでWBCの覇権奪回にも大きく貢献した。石川も自身の希望で、昨オフに背番号「2」から「25」に変更。背番号25は村田修一(現ロッテ一軍打撃コーチ)、筒香嘉智(レンジャーズ傘下)、岡本和真(巨人)と四番打者のホームランアーチストを連想させる。

「チームの勝敗の責任を背負うのが四番」


 石川は昨年2月に週刊ベースボールのインタビューで、「将来の四番候補」と評される重圧についてこう語っていた。

「そういうところは僕、あまり気にしないんですよね。なので重圧を感じたことはまったくありません。四番を打たなければいけないと思いますが、それで押しつぶされてしまうこともないと思います。逆に、そう言ってもらえるのはうれしいことだと思いますし、自分にやらないといけないと言い聞かせることもできるので、いいことなのかなと」

「三番はアベレージヒッターで何でもできる打者というイメージですけど、四番はみんなが打っていないときに打つというか、4打席3三振でも残りの1打席でホームランを打つ打者ですね。チームの勝敗の責任を負うのが四番打者だと思っています」

 石川が真の四番打者になれるか。その成長速度が、チームの命運を握る。

写真=BBM
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