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プロ野球もしもオーダー

もし助っ人3人制でブライアントが近鉄へのシーズン中トレードなく中日で覚醒したら?【プロ野球もしもオーダー】

 

中日の二軍でくすぶり……



 ペナントレースが開幕しても、油断できないのがトレードだ。ほとんどがシーズンオフに行われるものだが、シーズン中に敢行されたトレードでチームが活性化されたケースは少なくない。その最たるものが1988年、中日から近鉄へ移籍したラルフ・ブライアントの例だろう。

 これには近鉄のリチャード・デービスが解雇され、その穴を埋める必要があった近鉄の事情が大きい。当時は助っ人の登録は2人までで、郭源治ゲーリー・レーシッチの2人が実績を残していた中日で、来日1年目のブライアントは二軍でくすぶっていた。それが、6月に近鉄へ移籍すると、中西太コーチとの邂逅もあって打撃開眼、74試合で34本塁打の大暴れで、近鉄は黄金時代を謳歌する西武に肉薄、リーグ優勝の行方は近鉄の最終戦ダブルヘッダーにもつれこんだ。いわゆる伝説の“10.19”で、近鉄はゲーム差なし、勝率で2厘の差で西武に届かなかったが、もしちょっとしたボタンのかけ違いがあれば、日本シリーズでブライアントが古巣の中日に牙をむく、というシーンも見られたかもしれない。

 一方で、そんなブライアントのブレークに忸怩たる思いを抱いていたのは中日ファンかもしれない。もし外国人選手3人を登録できていたら、日本シリーズで西武を破って日本一になっていたかもしれない……。そんな夢を描いてしまうのも人情というものだろう。もちろん、ブライアントの覚醒には中西コーチの功績が大きく、中日に残っていてもブレークはなかったかもしれないが、とはいえ、中日にせよ、近鉄にせよ、敵は絶頂期の西武だ。今回は、近鉄のベストオーダーにおけるブライアントの守備位置を変えずに、そのまま中日のベストオーダーにスライドさせてみよう。そうすると、以下のようなラインアップとなる。

1(中)彦野利勝
2(遊)立浪和義
3(左)ブライアント
4(一)落合博満
5(二)宇野勝
6(三)仁村徹
7(右)川又米利
8(捕)中村武志
9(投)郭源治

実際のベストオーダーは?


1988年の落合は無冠ながら32本塁打をマーク


 88年の近鉄でブライアントは左翼手。中日では左翼は同じく助っ人のゲーリーが守っており、機械的なスライドをしただけでは、ゲーリーとブライアントが左翼のポジションを争って、ゲーリーを弾き出しただけになってしまった。ただ、ゲーリーは86年に右翼、87年は一塁でベストオーダーに並んでいて、戦略的にはゲーリーを別のポジションにコンバートさせることになるだろう。七番で右翼手の川又米利が外れる可能性もあるが、一塁にゲーリーを回してもいい。

 この88年の落合は最終的には無冠ながらも32本塁打を残したが、序盤は不振に苦しんでいた。中日1年目の87年には落合は三塁を守っており、ロッテ時代には二塁の経験もある。二塁にいる宇野勝は、もともとは遊撃手。遊撃の立浪和義は88年がルーキーイヤーで、新人王にも輝いているから、ユーティリティーの仁村徹が控えに回ることもありそうだ。落合と宇野に、ゲーリーとブライアントという和洋の大砲が4門も並ぶ打線には迫力があり、内野陣の誰が欠けてもバックアップに仁村がいるという安心感もある。

 ちなみに、投手の郭源治は88年の最優秀救援投手にして、MVP。ほとんどの場合、過去のベストオーダーに並んでいるのは先発のエースになるが、リリーバーがMVPとなった場合などでベストオーダーに選出されていることがある。この88年の先発で選ぶなら、18勝で最多勝の小野和幸になるだろう。小野の古巣は西武。実際の日本シリーズでは中日は1勝4敗と西武に敗れているが、ブライアントの打棒も加わり、日本一は果たせるだろうか。では、続きはファンの皆様の夢の中で。

(中日1988年のベストオーダー)
1(中)彦野利勝
2(遊)立浪和義
3(左)ゲーリー
4(一)落合博満
5(二)宇野勝
6(三)仁村徹
7(右)川又米利
8(捕)中村武志
9(投)郭源治

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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