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【高校野球】夏の第1シードを逃した横浜 左腕・杉山遙希は「夏までに、絶対的なエースになる」

 

「夏が本番だ!」


横浜高は神奈川県大会準々決勝で相洋高に惜敗。杉山[中央]は無念の表情を見せた


 試合後、一塁ベンチ前でしばらく立ち上がることができなかった。横浜高の左腕エース・杉山遙希(3年)は、背番号1としての責任をすべて背負い込んだ。

 横浜高は相洋高との神奈川県大会準々決勝(4月30日)を、延長10回タイブレークの末に敗退(3対4)。杉山は1点を先制された3回表二死一、三塁から2番手としてリリーフのマウンドに上がった。しかし、交代直後に右二塁打を浴びて0対2とされた。横浜高は4回裏に1点を返すも、6回表一死二塁からの捕逸で、一気に3点目の生還を許した。2点を追うその裏、横浜高は同点に追いつくが、3対3のまま9回を終えた。

 タイブレークの10回表、杉山は一死一、二塁から相洋高の主将・渡邊怜斗(3年)の左二塁打で勝ち越され、10回裏の横浜高の攻撃は無得点で万事休す(3対4)。春の県大会4強以上が手にできる、夏の第1シードを逃した。

「調子は悪くなかった。(最後は)真っすぐを運ばれた。自分がピンチを抑えないと……。夏までに、絶対的なエースになる」(杉山)

杉山は3回表途中から救援。力投も報われなかった


 あと一歩、届かず……。ここ一番での勝負強さが、横浜高のテーマとしてあった。

 昨秋は県大会優勝で、関東大会8強。1月のセンバツ選考委員会では、関東・東京地区のラスト1枠の比較検討により選出されなかった(補欠校)。勝ち切るという部分で、一冬を越えた今春も課題を残した。横浜高・村田浩明監督は言う。

「勝ったほうが強い。泥臭いチームにならないといけないということで、取り組んできましたが、ウチがやりたい野球を相手にさせてしまった。春の優勝を目指してきましたが、(監督である)自分の責任です」

 敗退直後、村田監督は一塁ベンチ前に選手たちを集めた。

「夏が本番だ!」

 3年生にとって、負けて反省できるのは、春が最後である。主将・緒方漣(3年)は「(昨夏、秋に続いて)3本目の優勝旗を取りに行きたかった。一球に対する執念が、相手が上回っていた」と振り返った。

 昨夏、2年連続で神奈川代表となった横浜高の主将・緒方が7月7日、夏の開会式で優勝旗を返還する。この悔しさを晴らすのは、決勝で甲子園切符を勝ち取り、優勝旗を取り返すだけだ。一塁ロッカールーム前では、高山大輝部長から「すぐに帰るぞ!」との声が通路に響いた。立ち止まっている時間はない。夏への戦いは、この瞬間から始まっている。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎
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