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西武・山川穂高が復帰も、四番は中村剛也 「史上2人目の40歳で本塁打王」の可能性も

 

史上初の2000三振も


40歳を迎える今シーズン、本塁打を量産している中村


 首位争いに食らいつく西武山川穂高が今月2日の日本ハム戦(ベルーナ)で右ふくらはぎの張りから復帰したが、四番にスタメン起用されたのは39歳のベテラン・中村剛也だった。

 本塁打王を6度獲得した長距離砲は正念場を迎えていた。昨年は88試合出場で打率.196、12本塁打、31打点。3、4月は23試合出場で打率.141、0本塁打、4打点と苦しみ、6、7月もノーアーチだった。直球に差し込まれて首をかしげる場面が。故障以外でこれほど打撃不振が長引いたシーズンはなかった。

 今季は開幕戦でベンチスタートだったが、山川が4月10日に故障で登録抹消されると、かつて座り続けた四番で快音を響かせる。広角に安打を打ち分けて打率3割をキープすると、4月18日のソフトバンク戦(東京ドーム)から9試合で6本塁打と量産体制に。29日の楽天戦(ベルーナ)で2打席目の4回に藤平尚真のフォークに空振り三振を喫し、プロ22年目でNPB史上初の通算2000三振を記録した。この数字は長距離砲の勲章だ。

 やられっぱなしでは終わらない。5回二死三塁の好機で回ってきた3打席目。藤平の内角直球を振り抜いた打球は左翼ポールを直撃した。本塁打を打つのはパワーだけではない。他の選手なら打ってもファウルになる球だが、体の軸がブレずコマのようにその場で回転し、バットが体に巻き付くようなスイングで打球が切れない技術を身に付けている。高い放物線を描いた打球に高度な技術が凝縮されていた。

本塁打は「恥ずかしい」!?


 翌30日の同戦も初対戦となったドラフト1位右腕・荘司康誠の146キロ直球を捉えると、打球はバックスクリーン左横へ。同一カード3連戦で3日連続アーチは自身5年ぶり。熱狂的な西武ファンで知られ、テレビ埼玉「LIONS CHANNEL」でMCを務めるお笑い芸人・あさりどの堀口文宏さんは昨年6月に週刊ベースボールで、中村にまつわる秘話を明かしている。

「実は本塁打を放ったとき『恥ずかしい』と思いながらダイヤモンドを回っているそうなんです(笑)。『みんなが見ている、どうしよう』って。中村選手にとって打球をスタンドにたたき込むことがすべて。ホームを踏まないとホームランが成立しないから回っているけど、本当は打ち終わったら仕事は終わりがベスト(笑)。じゃあ、無観客試合だったときは観客の視線がないから良かったのかと聞いてみれば『それはそれでどこを見ていいか分からない。シーンとした中で一周するのも嫌なものですよ』。どっちやねん!(笑)。でも、中村選手らしいですよね」

三振のペースは減っている


 三振かホームランか――。豪快な打撃の印象が強いが、今年はある変化が。昨年までは3.83打席に1三振の割合だったが、今年は21試合出場で79打席立ち、11三振。7.18打席で1三振と大幅に三振のペースを減らしている。

 スポーツ紙記者は、「今年はファウルや空振りなどのミスショットが減っている。状態が良いのでしょう。早いカウントからどんどんスイングしているので空振りも減っているのでは。中村が目標にする通算500本塁打まで残り39本塁打ですが、手の届く数字でしょう。8月で40歳になりますが、7度目の本塁打王も十分に達成可能だと思います」と期待を込める。

 リーグトップは杉本裕太郎(オリックス)で8本塁打。手強い相手だが、1本差で追いかける中村には経験値がある。40歳で本塁打王を獲得したのは、NPBの長い歴史で門田博光氏のみ。40歳シーズンの88年に打率.311、44本塁打、125打点で本塁打、打点の2冠に輝いた。門田氏は40歳になってから計133本塁打を積み上げ、通算567本塁打を記録。「中年の星」と称賛された。通算461本塁打の中村は、球界の偉大な先輩にどこまで近づけるか。

写真=BBM
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