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首都大学リポート

今季は勝ち点が遠く苦しい武蔵大 2年の松井颯大がバットでけん引【首都大学リポート】

 

好調の要因はルーティンにあり


2年生ながらバットで引っ張る武蔵大・松井颯


【5月6日】一部リーグ戦
明治学院大6−5武蔵大
(明治学院大2勝1敗)

 首都大学リーグ第6週1日目。ここまで勝ち点を挙げることができずに苦しんでいる武蔵大は、残留に向けて大事な一戦となる明治学院大との3回戦に臨んだ。

 厳しい状況のなか、バットでチームを引っ張っているのが松井颯大(2年)だ。母校の桐光学園高で「松井」といえば、4月5日にプロ野球9人目となる通算200セーブを達成した松井裕樹楽天)が思い出されるが、「松井投手はすごすぎますし、ポジションも違うのであまり意識したことはありません」と話す。

 高校3年の春は神奈川大会で準優勝し関東大会でもベスト4に進出。だが、松井にとっては悔いの残る高校時代だった。「セカンドのレギュラーでしたがケガの影響もあってスタメンを外れたり、ファーストを守ったりしていました。3年の夏は5回戦で慶応に敗戦(3対8)。やっぱり甲子園には出たかったです」

 卒業後は高校時代に体験入部をしていた武蔵大に進学。「雰囲気が良かったんです。それに、ただ打つだけではないチームカラーだったので自分の足と守備が生かせるのではないかと思っていました」。山口亮監督も「松井は足がありますし、器用な選手で内野も外野も守れる」と評価。

 1年春の開幕戦では途中出場ながら、いきなりレフトの守備に抜てきされた。当時のことを松井は「守備固めと走塁で期待されていたので、チームの戦力になれるようにバッティング練習はほどほどにしていました」と振り返る。

 結局、秋季リーグも含めて打席に立ったのは1年間で1打席のみ。だが、秋頃からバッティングの調子は悪くなかったという。「冬のオフシーズンもバッティング練習はそれほど多くなくて、『良いイメージを保てるように』と、それだけを意識していました」。

 良いイメージを保つために大きな効果を発揮しているのが打席に入る前のルーティンだ。「ネクストバッターズサークルにいる時は両手の指を使って動体視力を確認し、屈伸。それから2回スイングして土を払ってから打席に入っています」。ルーティンの多さはチーム一だと自負している。  

 また、打撃だけでなく守備練習にも取り組んできた。「土でもエラーがないよう、しっかりとさばけるようにしてきました。セカンドは昨年まで主将だった中島将喜さん(エイジェック)が守っていましたが、堅実なプレーを見て勉強し、バウンドの合わせ方などは直接教えてもらいました」と話す。ちなみに、「バッティングでも中島さんの塁に出ていく姿勢を見習っています」と攻守の両面で良いお手本にしているようだ。

5試合連続のマルチ安打


 そして迎えた今季。桜美林大との開幕戦から一番・右翼手で先発出場を果たすと、第2打席にライトへリーグ初安打を記録。続く第3打席にはまたもライトへ、今度はタイムリーヒットを放ち初打点も挙げた。

「練習試合では打っていましたが、やっぱりリーグ戦で打てたのは大きかったです。このヒットで良い流れに乗っていくことができました」

 その言葉の通り4試合連続でマルチ安打を記録。第5週を終えた時点で打率.308とリーグ8位の数字を残していた。この活躍に対して松井自身は、「2年生なので、まずは楽しむことを考えています。そのうえで自分が出塁してチームを盛り立てていければいい」と一言。一方、山口監督は「ここまでフル出場し、打率は3割超え。打撃には積極性がありますし、コンタクトするのが上手い。文句のない活躍をしてくれています」と手放しで褒めたたえている。

 明治学院大との3回戦でも1回表に右前打。1点を追う2回表の第2打席では「キレイなヒットも大きなヒットもいらないので、とにかく後ろへつないでいく気持ちでした」と二死一、三塁から詰まりながらもレフトへ同点となるタイムリーを放った。これで今季5度目(10試合)となるマルチ安打。さらに7回表には四球を選ぶと、これが同点に追いつく呼び水となった。

 しかし、チームは9回裏に失点し5対6で無念のサヨナラ負け。松井も「チャンスで打てたのは良かったですが、勝たなければ意味がない。悔しい思いしかありません」と唇をかんだ。

 これで明治学院大は勝ち点2となり1部残留が決定。入れ替え戦に回る6位は武蔵大か東海大のどちらかに絞られることとなった。チームを率いる山口監督は「まだチャンスがあるので、気持ちを落とさないようにしていきたい」と話しており、松井は「自分の成績よりもチーム。ベンチで声を出して盛り上げ、2勝して勝ち点を取りたい」と語った。第7週の東海大との直接対決を控え、リードオフマンは入れ替え戦の回避を意気込んでいる。

文=大平明 写真=BBM
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