週刊ベースボールONLINE

高校野球リポート

【高校野球】東海大相模を破り関東大会進出 横浜隼人の左腕エース・石橋飛和は「のらりくらり」を貫く

 

ピッチングの原点に戻って


横浜隼人高は東海大相模高との神奈川県大会の関東大会出場決定戦を8対3で勝利し、11年ぶりの出場を決めた。先発のエース左腕・石橋が完投している


 横浜隼人高の一塁ベンチの端で選手たちを鼓舞する松井理顧問は、勝因をこう話した。

「とにかく、切り替えるだけでした。1日で技術が上がるものではない。これまで取り組んできたことをもう一度、確認して試合に臨みました」

 横浜隼人高は春季神奈川県大会で11年ぶりの4強進出。関東大会出場をかけた今春のセンバツ出場校・慶応との準決勝(5月5日)は2対7で敗退した。先発の左腕エース・石橋飛和(3年)は初回に2点の先制を許し、3回2失点とゲームをつくれなかった。

 無念の投球だったが、試合は待ってくれない。翌6日には東海大相模高との関東大会出場決定戦(3位決定戦)が控えている。横浜隼人高・水谷哲也監督から2日連続で先発を託されたのは、背番号1を着ける石橋。ピッチングの原点に戻った。好きな投手はオリックス宮城大弥で、投球術を参考にしている。

「自分のボールを淡々と投げるだけ。相模打線? 相手どうのよりも、自分の持っている力を出し切る。緩いカーブで『のらりくらり』でいくのが、自分の投球のテーマです。ゆっくり、自分を落ち着かす。昨夏も意気込んでしまうクセがあり、特長を生かしていこう、と。(昨年の正捕手の)前嶋さん(藍、亜大1年)とも話して、自分の持ち味を発揮する投球を学んだんですが、それを思い出しました」

 東海大相模高との一戦、横浜隼人高は3回表に打者10人で6得点。主導権を握った。

「ロースコアを予想し、0対0のまま行くかな? と思いましたが、あの6点で楽に投げることができた。野手に感謝です。(ピンチの場面では)相手がイケイケのときこそ、自分は一歩引く。練習試合を積み重ねていく中で気づいた投球スタイルです。真っすぐが速くない(最速139キロ)ので、緩急を使いました」

 13安打を浴びながらも、3失点に抑えた。3、5、9回はすべて最少失点で、粘投が光った。カーブ、スライダーを交え、相手打線に的を絞らせなかった。水谷監督は「打たれても、打たれても、ホームを踏ませないピッチングをしてくれました」と評価した。県3位で11年ぶりの関東大会は地元・神奈川開催である。

「特別なことはせず、いつもどおり、のらりくらり。自分がマウンドで冷静に投げれば、野手も落ち着いて守ることができる。自分がチームを引っ張っていきたい」

 この試合は、わずか1四球。石橋は強力打線に対峙する上での「ピッチングの基本」を教えてくれた。関東大会でも背伸びをせず、緩急自在のスタイルを貫く。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング