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【高校野球】「神奈川2強」撃破で強烈なインパクトを残した相洋 初の甲子園に一歩近づいたことを実感

 

23年ぶりの関東大会出場


相洋高は今春の神奈川県大会準優勝。慶応高との決勝で敗退したが、甲子園優勝経験のある2校を撃破し、相当なインパクトを残した


 2023年春の神奈川県大会は、慶応高の12年ぶり5度目の優勝で幕を閉じた。今春のセンバツ出場校が、圧倒的な強さを発揮。5月20日に開幕する関東大会には慶応高、相洋高、横浜隼人高の3校が出場する。

 過去の神奈川県勢の甲子園実績において、県上位2校は横浜高(春3度、夏2度優勝)と東海大相模高(春3度、夏2度優勝)だ。

 この「神奈川2強」を撃破した相洋高が今大会を振り返る上で、最もホットな話題だった。準々決勝で横浜高に延長10回タイブレークの末、4対3で勝利。準決勝では東海大相模高を2対1で制した。27年ぶりの決勝進出で、23年ぶりの関東大会出場を遂げた。

 慶応高との決勝は、0対11で敗退。相洋高の快進撃は止まったものの、強烈なインパクトを残した偉業が色褪せることはない。しかしながら、感情起伏が激しい高校生が相手だ。現場として一番、怖いのが「達成感」と「おごり」。あくまでも、春の公式戦は経験を積む場であって、夏が本当の勝負だからである。

 そんなことは、あえて指摘されなくても、指導者は十分に承知している。相洋高・高橋伸明監督は「めったに起きないことが起きた」と言いながら、今後のアプローチを明かした。

「この大会を通して、勝利することで収穫を得ましたが、一方で、決勝では力のなさ痛感し、課題を持ち帰るという収穫もありました。これまで私たちは敗退するたびに『この悔しさを糧に頑張るぞ!』と言ってきましたが、勝つことで自信をつかみました。今回は2つの収穫を合算させ、選手とともに共有していきたい。この後の選手たちの変化を、いかにして夏に向けたプラスに持っていくか、私自身、頭を悩ませたいと思います」

 自信を過信にしてはならないが、結果を残した実績を誇っていい。一方で、現状に満足せず、貪欲に努力を重ねていく。高橋監督はこのバランス感覚を大事にしていきたいという。

 相洋高は春夏を通じ、甲子園出場はない。今春の県大会準決勝と決勝の球場は、夏のメーン会場である横浜スタジアム。すり鉢状であり、同球場特有の風への対応のほか、実際に立ってみないと分からないことを体感できた。今春から声出し応援が解禁。他の県公認球場とはまったく異なる、特別な空間である。

「新しい景色が見られたので、そこに一歩、近づいていることを実感できた」(高橋監督)

「そこ」とは、説明するまでもなく、甲子園である。関東大会は1回戦(5月20日)で、今春のセンバツ8強・作新学院高(栃木1位)と対戦する。甲子園常連校との顔合わせ。県大会決勝から約2週間後、相洋の進化に注目だ。会場は今春の県大会準々決勝で横浜高に勝利し、慣れ親しんだサーティーフォー保土ヶ谷球場。関東大会が今夏への試金石となる。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎
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