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ファーム降格も…巨人の22歳右腕に、他球団からすごい投手になる」の声が

 

アマで目立った実績はなしも


今季、ドラフト3位で巨人に入団した田中千


 巨人は守護神・大勢につなぐ「8回の男」がポイントになっている。5月は2日のヤクルト戦(神宮)から8回に6試合連続失点。勝負どころで踏ん張れず、5日からの中日戦(バンテリン)で同一カード3連敗を喫した。8回を任せるセットアッパー候補だったこの男も、結果を残せなかった悔しさを糧にファームで心身を鍛え直している。ドラフト3位・田中千晴だ。

 189センチの長身から投げ下ろす150キロを超える直球、落差の鋭いフォークが武器の本格派右腕。ただ、開幕から稼働する即戦力という触れ込みではなかった。浪速高では2年秋からエースになったが、甲子園出場なし。3年夏も南大阪大会2回戦・三国丘高戦に7回3失点と力投したが、1対4で敗れた。国学院大では2年秋にリーグ戦初登板したが、その後は右肘の故障でマウンドから1年以上遠ざかる。4年春のリーグ戦で復帰すると、直球が自己最速の153キロを計測して一躍プロ注目の右腕に。4年秋にリーグ戦初勝利を含む2勝1敗、防御率1.42の好成績で2季ぶり4度目の優勝に大きく貢献した。

 アマチュアを取材するスポーツ紙記者は「大学で目立った実績はないですが、潜在能力はドラフト1位の投手たちに引けを取らない。線が細く、体力にも不安があるので1年目から一軍でバリバリ投げるというイメージはないですが、2、3年後が楽しみ。先発ならエース、リリーバーならセットアッパー、抑えとして才能を開花させてほしい」と期待を込めていた。

デビューから7試合連続無失点


 一軍のマウンドで輝く時期は、周囲の予想以上に早く訪れた。開幕二軍スタートだったが、4月13日に一軍昇格すると、プロ初登板となった同日の阪神戦(東京ドーム)から7試合連続無失点。奪三振能力が高く、走者を背負っても動じない。怖いもの知らずの右腕は結果を積み上げることで、首脳陣の信頼を高めていった。

 だが、相手球団も対策を施してくる。田中千も疲労が出た部分はあっただろう。5月に入ると、3試合の登板で計8失点と痛打を浴びるマウンドが続く。今月5日の中日戦(バンテリン)で1点リードの8回に託されたが、一死二、三塁から細川成也に逆転の2点適時打を浴びると、続く石川昂弥に左翼へ2ランを被弾。真ん中に入った138キロのフォークをはじき返された。翌6日に登録抹消。10試合登板で0勝2敗3ホールド、防御率6.97という成績が残った。

「日本の球界を変えるような投手に」


 他球団のスコアラーは、田中千についてこう分析する。

「まだまだ成長過程の投手ですが、あれだけ投げられるのはたいしたもの。鍛えて体が厚みを増せば、直球の球速はさらに上がるでしょう。イメージとしてはオリックス山崎颯一郎ですかね。すごい投手になる可能性を秘めていると思います」

 順風満帆な野球人生を送れる選手はいない。超一流と呼ばれる選手たちも、試練や壁を乗り越えることでステップアップしていった。大卒1年目の22歳。同学年には戸郷翔征直江大輔横川凱と刺激を受け合いながら成長できる仲間たちがいる。田中千は昨年11月に都内で行われた入団会見で、「環境に慣れることが第一だと思います。そこから一歩一歩、自分の色を出せるようになれば、(一軍で)投げられると思っています。貯金をつくれる投手になりたい。日本の球界を変えるような投手になりたいです」と意気込みを語っている。

 巨人は救援陣がウィークポイントだ。田中千にも必ずチャンスが再び巡ってくるだろう。成長した姿で一軍のマウンドに戻ってきてほしい。

写真=BBM
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