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【大学野球】二部優勝を決めた東洋大 ドラフト上位候補として存在感を示した155キロ左腕・細野晴希

 

「あと、2勝するだけなので……」


今秋のドラフト上位候補である東洋大の155キロ左腕・細野は拓大3回戦で勝利投手。東都二部優勝の立役者となった


 最終到達点ではない。東洋大ナインの誰もが、理解している。とはいえ「二部優勝」という段階を踏まなければ、次のステージに進むことはできない。一連の優勝セレモニーをこなす姿に、目立った歓喜はなかった。しかし、この日ばかりは、ゆっくり喜んでいいはずだ。

 東洋大は拓大3回戦(5月11日)を2勝1敗で勝ち点4。専大との1カードを残し、東都大学二部リーグの優勝を決めた。

 今春から指揮を執る井上大監督は試合後「あと、2勝するだけなので……」と、早くも一部6位校との一部二部入れ替え戦(6月23日から神宮)を見据えていた。

東都二部の試合会場は公営球場だ。細野は優勝を決めたUDトラックス上尾スタジアムで、先発で6回1失点[11奪三振]と好投した。一部二部入れ替え戦が行われる、神宮のマウンドが待っている


 先発した155キロ左腕・細野晴希(4年・東亜学園高)は、拓大3回戦を6回1失点。今季6試合目の登板で5勝目(無敗)を挙げ、防御率0.84、43イニングで57奪三振と圧倒している。ドラフト上位候補として、存在感を示した。Vの立役者は「ここまで予定どおりに来ているので、さらにレベルアップし、神宮で戦える状態に持っていきたい」と、指揮官同様、視線はその先にあった。あくまでも、ピークは入れ替え戦。決戦まで1カ月以上空くが、最高のコンディションを整えていく。

 最終学年となり、心身とも充実する細野。過去3年とは異なる手応えを、こう語った。

「大崩れすることがなくなった。最少失点で抑えられるようになったのは、成長した部分だと思います。(昨秋までは)四球を気にしていましたが、目の前のことに集中できている」

二部優勝の優勝旗を持つ東洋大の主将・水谷[左]とカップを持つ細野[右]。あくまでも目標は、さらに先にある


 左腕エースをもり立てる水谷祥平主将(4年・龍谷大平安高)も「(一部校に対しては)少しでもスキを見せると、やられる。徹底して詰めていかないと、一部には上がれない。課題を一つひとつつぶして、積み上げていきたい」と、背筋を伸ばした。

 井上監督は言った。

「今日で決められたのは、良いこと。(残った最終カードは)逆に言えば、前向きな負けでも良いので、チームのことを考えたら、3戦やってもいいぐらい。ただ、相手に対して失礼に当たりますので、しっかりと戦っていきたいと思います」。多くの選手を試し、入れ替え戦で起用できるかの見極めの場となる。

「ウチのスローガンは『一戦必勝』。勝利を必死になって取りにいきたい」(井上監督)

 東洋大にとっては一部昇格も「通過点」に違いない。今秋には東都一部を制し、11月の明治神宮大会で「秋日本一」を遂げるのが最終目標だ。投打とも充実の戦力であり、当面は、入れ替え戦に向けて全神経を集中していく。

写真=矢野寿明
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