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阪神・佐藤輝明が本塁打量産の予感 他球団から「明らかに変わった」と警戒の声

 

首位攻防戦で爆発


打撃の状態が急上昇している佐藤輝


 DeNAとの首位攻防戦で3連勝を飾り、今季最多の貯金7で単独首位に躍り出た阪神。5月は7勝3敗と上昇気流に乗っている。

 DeNA3連戦で計28得点。活発な打線を牽引したのが佐藤輝明だ。5月12日の1戦目は青柳晃洋今永昇太の球界を代表する「エース対決」。佐藤輝の一撃が甲子園のボルテージを一気に上げた。3点リードの3回一死。今永の147キロ直球を完璧に捉えた大飛球は左翼ポール際で強烈な浜風に流され、ファウルゾーンに切れた。球場はため息に包まれたが、打席で集中力を切らさず見事に「打ち直し」を決めた。2ボール2ストライクから低めの147キロ直球を振り抜いたライナー性の打球が、バックスクリーンに飛び込んだ。

 2戦目も中前適時打で勝利に貢献すると、3戦目の打撃は圧巻だった。初回二死一、二塁で相手先発・平良拳太郎の低めスライダーをすくい上げ、右翼席へ先制の6号3ラン。さらに、四番・大山悠輔の押し出し四球で勝ち越した4回二死満塁で、三嶋一輝が初球に投じた146キロ直球を豪快に振り抜いた。右翼席中段へ特大の満塁アーチ。1試合7打点は自己最多で、宮崎敏郎(DeNA)、村上宗隆(ヤクルト)と並んでリーグ最多タイの22打点に。母の日で最高のプレゼントとなる活躍を見せ、「お母さんいつもありがとうございます。これからも頑張ります。応援よろしくお願いします」と感謝を口にした。

 他球団のスコアラーは「このDeNA3連戦で明らかに打撃の内容が変わった。春先から打撃フォームで試行錯誤していたが、大振りせずコンパクトにきっちり振れるようになっている。好不調の波が激しい選手だけど、あの打撃を続けられたら本塁打を量産するでしょう。なかなか抑えられなくなる」と警戒を強める。

「三振はやっぱりアカンやろ」


 球界屈指の飛距離が魅力の和製大砲だが、粗さが課題だった。1年目の2021年は24本塁打をマークしたが、リーグワーストの173三振。当時野球評論家だった岡田彰布監督は昨年1月に週刊ベースボールのコラムで、佐藤輝に対する思いを熱くつづっている。

「2年目を迎える今シーズン、彼に課すのは打つこと、結果を残すこと。これのみよ。そこでオレは条件をつけてみた。それは三振をするな!である。佐藤輝のバッティングに『三振してもいいから、思い切り振り切れ』といった声が上がっていた。エッという感じよ。三振してもいいから……って、三振はやっぱりアカンやろ。さらに『決して当てにいくような打撃になるな』とも言われていたが、なんで当てにいったらアカンのか。バットにボールが当たって、スタートするものやし、佐藤輝の場合、当てにいっても当たったら飛ぶよ。それでエエやん、とオレは考える。だから今シーズン、三振を2ケタ、そうやな、70から80までに抑えていくこと。これが2年目の爆発的ブレークの条件としておく」

打撃フォーム改造に着手


 2年目の昨年は全143試合出場で打率.264、20本塁打、84打点。三振は137だった。1年目より打率が上昇して三振数が減少。確実性は上がったが、本塁打数が減った。ミート能力を上げつつ、自慢の長打力を発揮する。打者としてステップアップを目指し、打撃フォームの改造に着手。スタンスを広げ、グリップの位置を下げる新フォームに取り組んでいた。

 春先は打撃の状態が上がらず、2試合のスタメン落ちを味わったが、佐藤輝がクリーンアップで稼働しなければ18年ぶりのリーグ優勝は見えてこない。3年目の今年は34試合で27三振と粘り強くなっている。打棒爆発に期待したい。

写真=BBM
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