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日本ハム・江越大賀が30歳で覚醒の予感 恐怖の八番打者に「昨年までと別人」と驚きの声が

 

打撃でチームに貢献


5月16日の西武戦で3試合連続本塁打を放った江越


 環境を変えることは、花を咲かせる大きな転機になる。高い身体能力を持ちながら、伸び悩んでいた日本ハム江越大賀は30歳。昨オフに新庄剛志監督が獲得を熱望して阪神からトレード移籍した男が、覚醒の予感を漂わせている。

 5月13日のロッテ戦(エスコンF)で、2016年以来7年ぶりとなる2試合連続アーチ。2点を先制してさらに3回二死一、三塁の好機で相手先発・森遼大朗の外角のスライダーを左中間へ運んだ。11日のソフトバンク戦(PayPayドーム)で、阪神在籍時の18年5月11日の広島戦(マツダ広島)以来1826日ぶりのアーチを放ったが、チームは敗れた。2試合連続弾は試合の主導権を引き寄せる貴重な3ランとなった。

 この日は新庄監督のプロデュース企画『NEW AGE GAMES produced by SHINJO』の初日。指揮官自らデザインしたデザインユニフォームは赤と黒を基調とした斬新な色使いで、襟つきのド派手なユニフォームだった。移籍後初のお立ち台に上った江越は「僕もたまには打つんで。今日来てくれたファンの方はラッキーだったんじゃないかと思います」とコメント。「僕が(デザインユニフォームは)一番似合っていたんじゃないかな」と球場の笑いを誘い、「あくまで僕は守備の人間だと思っているので、何とか守備でチームに貢献できるように明日からやっていきたいと思います」と誓った。

「ラストチャンス」のトレード


 江越は自身を「守備の人」と評したが、強肩、俊足に定評があるだけでなく、打撃で球を遠くへ飛ばす才能も抜きん出ていた。プロ2年目の16年、開幕間もない春先に3打席連続本塁打を含む4試合連続本塁打をマーク。その活躍は衝撃的だった。当時の金本知憲監督から三番に抜擢された時期もあったが、確実性を欠いたためレギュラー定着には至らない。この年は72試合出場で打率.209、7本塁打、20打点をマーク。217打席に立ったが、翌17年は28試合出場で18打席と出場機会を大幅に減らす。その後も代走、守備固めで起用されることが多く、20年以降は3年連続無安打。日本ハムへのトレードは「ラストチャンス」だった。

チャンスを逃したくない強い執念


 打撃改造に取り組み、新庄監督からマンツーマンで連日指導を受けていた光景が、期待値の大きさを物語っていた。オープン戦は打率.167、0本塁打、4打点と結果を残せなかったが、外野の高い守備能力が評価されて開幕一軍の切符をつかんだ。3、4月はベンチスタートが多かったが、5月に入り、中堅でスタメン出場の機会が増える。右手首に加えて左あばら骨の骨折が4月中旬に判明したが、江越本人の強い希望で強行出場を続けている。患部は完治していないが、このチャンスを逃したくないという強い執念を感じる。

5月6日の楽天戦ではセンターで好プレーを見せた


 5月6日の楽天戦(エスコンF)では、2点ビハインドの5回二死一塁で山崎剛の頭上を襲う打球に背走しながら最後は真後ろにダイブする形でキャッチ。日本ハムファンだけでなく、楽天ファンからも拍手が起きるほどのスーパープレーだった。

 スポーツ紙記者は、「技術もそうですが、打撃はメンタルの部分も大きい。守備で信頼をつかみ、スタメンで出場するようになって気持ちのゆとりができたと思います。昨年までとは別人ですね。持ち前の思い切りの良さを発揮している。外野の守備能力を考えた時、八、九番の打順で打率が低くても、15、20本塁打打ったら十分です。潜在能力は凄いものを持っている。今後の活躍が楽しみです」と期待を込める。

 16日の西武戦(エスコンF)でも1点差を追いかける6回に今井達也のスライダーを左翼席に運ぶ3試合連続アーチ。延長戦の末にチームは敗れたが、戦いは続く。救いの手を差し伸べてくれた新庄監督に恩返しするためにも、一球入魂で全力を尽くす。

写真=BBM
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