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スタメン落ち経験の巨人・吉川尚輝が復調 他球団から「替えの利かない選手」の高評価が

 

一番起用で打撃急上昇


今季で7年目を迎えている吉川。持っている能力は高い


 この男が輝かなければ、巨人は上昇気流に乗れない。

「一番・二塁」でスタメン出場した吉川尚輝が、5月20日の中日戦(東京ドーム)で今季3度目の猛打賞をマークした。1点リードの3回に先頭打者で左翼に二塁打を放ち、岡本和真の中前適時打で俊足を飛ばして本塁生還の好走塁。5回も中前打でチャンスメークして大城卓三の満塁弾を呼び込むと、6回も右前打で出塁。チームは6対2と快勝し、今季初の4連勝で約1カ月半ぶりに借金を完済した。

 5月上旬まで続いた借金生活。白星を積み上げられなかった一因は、一番打者を固定できなかったことだろう。吉川は最有力候補だったが、開幕から二番で起用されて状態が上がらずスタメン落ちを経験。オコエ瑠偉梶谷隆幸廣岡大志(現オリックス)、中山礼都長野久義が一番で起用されたが、固まらなかった。借金5で迎えた5月9日のDeNA戦(新潟)。10日以上スタメンがなかった吉川が今季初の一番で起用される。5打数無安打と結果を残せなかったが、同戦から「一番・二塁」で9試合連続出場。2度のマルチ安打、3度の猛打賞と広角に安打を積み重ねる本来の打撃を取り戻し、1割だった打率は.257まで上昇した。チームもこの期間に7勝2敗と息を吹き返した。

さらに目指せる高み


 他球団の首脳陣は、「替えの利かない選手」と評する。

「打撃はもちろんだが、二塁の守備能力は菊池涼介(広島)に引けを取らない。守備範囲が広く、安打性の打球をアウトにされる。ヒット1本分以上の価値がありますよ。打者からすればダメージが大きいし、投手はリズムに乗っていける。遊撃・坂本勇人と二遊間での呼吸を含め、吉川が二塁を守る布陣がベストの布陣でしょう」

 昨季は自己最多の132試合に出場し、打率.277、7本塁打、31打点、16盗塁をマーク。能力の高さを考えれば、さらに高みを目指せる。吉川も4月に週刊ベースボールのインタビューで、「確かにキャリアハイなんですけど、一つひとつの数字だけを見たら、とても満足できるものではないですね。もちろんチームが勝つということが前提ですが、その上で結果的にもっといい数字を残したいと思いますし、すべての面で数字が良くなれば、それはチームに貢献できていることにもなるので、もっといい数字を目指してやっていきたいです」と語っている。

今季は副主将に指名されて


二塁打を打てる打撃は魅力的だ


 今季は新たに副主将に指名され、主将・岡本和を支える立場に。「そういう役職をいただいたので。僕もそういう年齢になってきましたし、チームに自分より年下の選手も多くなってきました。自分のことだけを考えていればいいわけではないですから。大した成績を残しているわけではないので、何かを伝えるというのは簡単ではないかもしれないですけど、何かを聞かれれば答えていきたいと思いますし、できるだけのことはやっていきたいです」と自覚十分だった。

 28歳と選手としてピークを迎える。95年2月の早生まれで、同学年の「94年世代」には大谷翔平(エンゼルス)、鈴木誠也(カブス)、近本光司大山悠輔(阪神)、西川龍馬(広島)、佐野恵太(DeNA)、柳裕也(中日)と球界を代表する選手たちがズラリ。吉川もスーパースターになる可能性を十分に秘めている。3年ぶりのV奪回へ、巨人の命運を握る選手だ。

写真=BBM
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