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首都大学リポート

今春の覇者・日体大が勝ち点5で今季締める 全11試合に出場の中島優仁が攻守で優勝に貢献【首都大学リポート】 

 

珍しいスイッチヒッター


スイッチヒッターとして結果を残した中島優仁


【5月22日】一部リーグ戦
日体大4-3筑波大
(日体大2勝1敗)

 首都大学リーグ第8週3日目。今春のリーグ最終戦となる日体大と筑波大の3回戦が行われ、延長10回タイブレークの末に4対3で日体大が逆転サヨナラ勝ちを収めた。日体大は4月30日に優勝を決めていたが、この勝利で勝ち点5となり、全勝は逃したものの完全優勝という形で今季を締めた。

 その日体大で全11試合にスタメン出場し、優勝に貢献したのが中島優仁(4年・佐賀商高)だ。中島は今では珍しくなったスイッチヒッターである。

「小学校5年生の時、チームに左打者が少なかったので、みんなでやってみることになったんです。始めたばかりの頃はまだ遊び感覚だったのですが、それ以来ずっと続けることになりました。やっぱり左対左だと逃げるスライダーが難しいのですが、入ってくるボールを打つことが多くなりますし、ボールの見えやすさが全然違うので、スイッチヒッターになって良かったと思っています」と大きなメリットを感じている。

 高校は佐賀商高に進学し、2年夏は甲子園に出場。初戦敗退(1対4高岡商高)も六番・二塁手で4打数2安打の結果を残した。さらに、3年春の佐賀大会で優勝。

「自分たちの代は1年生の頃から試合に出ていた選手が多かったので、3年の夏はもっと上を目指していました」と言う。しかし、佐賀大会の3回戦で唐津工高に1対4で敗れ、まさかの黒星を喫してしまう。「相手にかなり研究されていて、配球を上手くやられてしまった印象。本当に悔しかったです」

一皮むけた2年秋


 大学は関東の高いレベルでプレーすることを望み日体大へ進学。入部当初はストレートの速さに戸惑ったという。「佐賀はスピードよりも変化球で勝負するピッチャーが多かったので、真っすぐが速いと感じました。そこで、最初はバットを短く持つようにしましたが、今は余計な力が入らないようにゆったりとしたフォームで打つようにしています」。

 2年春にはレギュラーを勝ち取りリーグ戦に出場。そして、迎えた同年秋のことだ。「勝てば優勝も見えてくる大事な試合で、終盤にチャンスで打順が回ってきたのですが三振。その時に古城隆利監督から『気持ちで負けている』と言われました」。

 しかし、この打席が一皮むけるきっかけとなった。「今はチャンスで回ってきたら『オレが決めてやる』と思っています」と意識が変わった。

 すると、成績も上がっていった。昨春はリーグ同率9位となる打率.324を記録すると、今春も3割をマーク。「これまでのヒットは引っ張った打球が多かったのですが、オフシーズンに逆方向を意識してバッティング練習をしてきた成果が出て、今季はセンター方向が増えました。また、左投手との対戦が多かったのですが、右打席の調子が良かったのも良い数字を残せた理由だと思います」。

 この活躍に、かつては消極的な面を叱責した古城監督も「下級生の頃は大事な場面で実力を発揮できなかったのですが、成長しました。今季は打つだけでなく、粘ってフォアボールも選べていましたし、セカンドの守備もしっかりとやってくれました」と主力の一人として認めている。

 ただ、反省点もある。「最後の筑波大との2試合は、疲れがありヒットが打てませんでした。これからは疲労と上手く付き合いながら、体力を付けていきたいです」。

 そして、間近に迫る大学野球選手権(6月5日〜11日/明治神宮野球場、東京ドーム)に関しては、「学生最後の年ですし、4年生でチームを引っ張って優勝したいです」と抱負を語った。全国の舞台でも左右の打席からヒットを量産するつもりだ。

文=大平明 写真=BBM
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