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上昇気流の巨人 20歳の新人王候補に、他球団から「最も怖い打者」と警戒の声が

 

チームに活気をもたらす打撃


高卒3年目の今季、ポテンシャルの高い打撃が開花しようとしている秋広


 最大借金6を返済し、上昇気流に乗る巨人。若手の成長株としてチームに活気をもたらしているのが、プロ3年目の秋広優人だ。

 春季キャンプの実戦で結果を残せず、オープン戦も3試合で打率.167、0本塁打。開幕を二軍で迎えたが、イースタンで13試合出場し、打率.341、1本塁打、8打点と結果を残して、4月18日に一軍昇格。29日の広島戦(東京ドーム)で松本竜也のカーブを振り抜き、右中間へプロ初アーチを放つと、その後も結果を残し続けている。

 長距離砲として底知れない可能性を感じさせる一打が、5月17日のヤクルト戦(神宮)だった。1点リードの4回無死一、二塁の好機で、市川悠太の内角に食い込むスライダーに泳がされてバットの先でこすったような打撃だったが、高々と舞い上がった打球は右翼席最前列に消えた。翌18日の同戦でもプロ初の三塁打を含むマルチ安打。ヤクルト戦は打率.394、1本塁打、10打点と相性が良い。23日のDeNA戦(東京ドーム)も9回に右中間へ3号2ラン。外野の守備でも好守を見せている。5月24日現在、25試合出場で打率.341、3本塁打、14打点。新人王の有資格者で今後の活躍次第ではタイトル獲得の可能性が十分にある。

 他球団のスコアラーは、「飛距離もすごいが、長距離砲の粗さがない。打撃が柔らかくて変化球に合わせるのがうまい。逆方向にもヒットゾーンに飛ばす技術を持っているので、厄介です。今は怖いもの知らずで、ストライクゾーンに来れば迷いなくどんどん振ってくる。最も怖い打者の1人ですよ」と警戒を強める。

「持っている素質はケタ外れ」


 大久保博元打撃チーフコーチは5月上旬に週刊ベースボールのコラムで、秋広の進化についてこうつづっている。

「春季キャンプから一軍で見ましたが、なかなか結果が出ずに途中で二軍に降格していました。その大きな理由は『素直過ぎる』ことでした。つまり、いろいろなコーチや、人の打撃の意見をすべて受け入れてやってしまう性格でした。これというものがないのは仕方ないのかもしれませんが、すべてのアドバイスを受け取ってしまうんです。それで頭がパンクしてしまったという部分もありました。しかし、二軍ではじっくり、しっかりと打撃を固めてきました。二岡(二岡智宏)二軍監督をはじめ、橋本(橋本到)二軍外野守備兼打撃コーチ、小笠原(小笠原道大)三軍打撃コーチなどがきちんと1本筋が通った指導をしたのだと思います」

「2メートルの身長があり、持っている資質は、ケタ外れだと思っています。この男が覚醒したら、とんでもない成績を残すのではないかと思っています。それくらい期待していますし、ほかの若手野手も一軍で良い成績を残そうと必死です。巨人というチームは、一軍で選手を育てるということはしません。常に勝たないといけないチームだからです。その中で秋広も、ここからが本当の勝負です。結果を残し続けてくれると信じています」

レギュラーの座を確固たるものにするために


長打力がありながら、柔らかい打撃で高打率も残せる


 高卒1年目の21年オフに背番号「55」に変更。球界を代表するスラッガーとして活躍した松井秀喜氏の背番号を継承したことが、期待の大きさを物語っている。昨年はイースタンで最多安打(98安打)を記録したが、一軍での出場機会がなく悔しい思いをした。今年は期する思いが強いだろう。

 一軍で活躍することで、今後は相手バッテリーのマークも厳しくなる。選手層が厚い巨人でレギュラーを獲得するために、打ち続けるしかない。秋広のサクセスストーリーは幕を開けたばかりだ。

写真=BBM
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