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首都大学リポート

城西大が武蔵大を下し2016年秋以来の1部復帰 主将の池永佑斗が2打点の活躍でチームをけん引【首都大学リポート】

 

主将がバットでけん引


1部復帰に貢献した城西大主将の池永佑斗


【5月29日】入替戦
城西大3-1武蔵大
(城西大2勝1敗)

 首都大学リーグ入替戦3回戦。1部6位の武蔵大と2部優勝の城西大による入替戦はどちらも譲らず、勝利チームが秋季リーグ戦を1部で戦う権利を得る、運命の3回戦を迎えた。

 勝利の女神がほほ笑んだのは城西大。3対1で武蔵大を下し、2016年秋以来となる1部復帰を果たした。チームを率いる村上文敏監督は笑顔で「ホッとしました」と喜びを表し、主将の池永佑斗(4年・東京学館浦安高)は「ずっと1部昇格を目標にしてきたのでうれしいです」と満足気な表情を見せた。

 池永はこの試合で2打点を挙げる活躍。1点を追う2回裏に「前日打てなかったので、今日も同じ球種で攻めてくると思っていました」と狙っていたスライダーを芯でとらえると、これが大学の公式戦では初めてとなる同点の本塁打に。さらに、4回裏二死一、二塁で打席に立つと、「ストレートを待っていたのですが、スライダーにうまく反応できました」と、レフトへ決勝のタイムリーを放った。

 この活躍の裏には前夜の努力があった。「入替戦の2回戦はスタメンでしたが、2打席ノーヒットで交代になってしまったんです。寮に帰ってから自分にできることは準備だと考え、学生コーチに打撃投手をしてもらい、夜の9時から11時まで打ち込んできました」。

 池永の活躍でリードを奪った城西大は、中盤以降は幾度もピンチを招きながらも投手陣が踏ん張り、8回裏には恋田孝一朗(3年・関西高)の適時二塁打でダメを押すと、9回表は3番手の竹丸和幸(4年・崇徳)が最後の打者を三振に打ち取って試合終了。その瞬間、城西大ベンチからメンバーが一斉に飛び出し、マウンド付近には歓喜の輪ができ上がった。「勝った瞬間は、今までの野球人生の中で一番うれしかった」と池永は言う。

 試合後は、体が自然とスタンド方向を向いた。「これまではコロナもあってメンバーだけで戦っているような感じだったのですが、今季は声出しの応援もできるようになり、一つのヒット、一つの三振で喜んでくれているのを感じていました。この勝利はチームで勝ち取ったものですし、束になって戦う自分たちに勝るチームはないと思います」と語った。

1部昇格へ必勝誓う


 城西大は昨秋も2部で優勝していたが、入替戦で明治学院大に先勝しながらも、その後に連敗を喫し1部復帰はならなかった。そこで、新チーム結成時から「1部で勝てるチーム」をテーマに掲げて練習に取り組んできた。冬のオフシーズンには松岡淳ヘッドコーチや濱田友哉投手コーチといった新たなスタッフが加わったこともあり、練習内容は様変わりしたという。

「フィジカルを鍛えるためにフィールドトレーニングやウエートトレーニングに取り組み、毎日バットを振ってノックも受けていたので技術練習も例年より多かったと思います」と池永。さらに、ミーティングでは、副主将の瀬良潤平(4年・市川越高)、片平吉信(4年・静岡高)、谷口優介(4年・安城学園高)らとともに、「この春は絶対に1部へ行くんだ。そのためには一日一日をムダにできない」と、口酸っぱく言ってきたという。

 満を持して迎えた今春のリーグ戦。唯一、獨協大に敗れたものの「このところ全勝優勝したチームはなかったので、『絶対、上にいるチームを落とすぞ』、『ここでダラダラ行くな』と言い続けていました」と1敗をキープ。そして、最終戦では明星大に4対3で逆転サヨナラ勝ちを収め、1部への挑戦権を手にしたのだった。

 入替戦は初戦を落としたものの、昨秋の経験が役に立った。「昨年の秋の入替戦(対明治学院大)は自分たちが1戦目を取ったのですが、2戦目で敗れてダメージが大きかったんです。だから、今季は初戦で負けた後もポジティブに『2戦目を勝ったら、相手チームのほうが痛いよ』と話していました」と振り返る。

 2回戦に勝利して1勝1敗の五分とすると、3回戦では「試合前の円陣で『負けたらオレのせい。キャプテンについてこい』とカッコつけたことを言わせてもらいました」(池永)と、まさに有言実行のバッティングで1部昇格を引き寄せたのだった。

 村上監督も「池永はどんなことも前向きにとらえて実践できる選手。全体練習の前からグラウンドに来て練習している姿をよく見かけますし、そういった姿勢と言葉でチームを引っ張ってくれています」と、その仕事ぶりを評価している。

 秋には2016年秋以来となる1部での戦いが待ってる。社会人野球のNKKやJFE西日本で監督を務めた村上監督も首都大学リーグでは初めての1部となるが、「開幕まであと3カ月、しっかりと鍛えて持っているものを全部出していきたい。1部は甘くないと思っていますが、苦しいことを乗り越えたうえで楽しんでやれたらと思います」と秋への抱負を語った。

 主将の池永も「1部で戦うということは全国大会へ出場する権利も得られたことになるので、まずは2位に入って関東地区大会を目指したいです」と新たな目標を掲げている。1部で戦うのは初めてとなるが、城西大ナインがどのようなプレーを見せてくれるのか、早くも秋の戦いが楽しみだ。

文=大平明 写真=BBM
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