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開幕から機能しているのは? マルティネス、山崎康晃、大勢、田口麗斗…セ・リーグ守護神事情

 

ペナントレースも開幕から約2カ月が経過した。5月30日からはセ・パ交流戦がスタートするが、ここまでチームの勝利に欠かせないクローザーは各球団、しっかりとした働きを見せてきたのか。セ・リーグのクローザー事情を見ていこう。
※記録は5月29日現在

脅威のカリビアン・エクスプレス



中日・マルティネス

 抜群の安定感で最後を締めくくっている。ここまで17試合に登板して自責点ゼロと無敵の守護神だ。5月6日の巨人戦(バンテリン)では通算100セーブを達成。「育ててくれた両親とドラゴンズに感謝したい」と口にした。キューバから来日して今季で7年目。最初は育成からのスタートだったが、スプリットを中心とした変化球をマスターして飛躍。以前は走者が出ると制球が乱れる悪癖があったが、今はその心配もない。歯がゆいのはチーム状態が悪く、登板数が少ないこと。チームの合言葉である「ライデルにつなげ!」が実行できれば必ず浮上できる。

【2023年成績】
17試合1勝1敗12S2H、奪三振率13.50、防御率0.00

不安定な投球続き修正必須



DeNA・山崎康晃

 投手キャプテン就任1年目の絶対的守護神が今季は序盤戦から苦しんでいる。今季初登板は、4月1日、阪神との開幕カード第3戦(京セラドーム)だった。試合序盤に点を取り合い5対5で延長へと突入し、そのまま迎えた12回裏。二死まで奪ったもののそこから安打と四球で、満塁にピンチを拡大し、最後は近本光司にサヨナラ安打を許していきなりの黒星。その後は4月だけで8セーブを挙げ、防御率も1.54まで盛り返したが、5月に入り2敗を喫するなど、防御率は5.40まで悪化した。通算219セーブを誇る“ハマの守護神”の修正能力に期待したい。

【2023年成績】
19試合0勝3敗12S2H、奪三振率11.12、防御率5.29

安定感抜群の左腕クローザー


阪神・岩崎優


阪神・岩崎優

 安定感は昨年以上だ。岡田彰布監督は開幕当初、侍ジャパンに選ばれた昨年のセットアッパーの湯浅京己を新クローザーに起用し開幕から快投。しかし、右肘違和感で戦線を離脱した。そこで昨季のクローザーで28セーブを挙げた岩崎優を起用する。5月11日から8試合に登板し1勝7セーブで安打を1本も打たれず、同28日現在、防御率0.55。「真のクローザーはオレだ。湯浅には渡さない」とばかりに打者を圧倒。実際に湯浅が一軍復帰を果たしたが、ここからは左右ツープラトンで強力クローザーを形成できる。あとは岡田監督がどう起用するか。ぜいたくな悩みをつくり出している。

【2023年成績】
18試合2勝0敗9S3H、奪三振率10.47、防御率0.55

不安定さを垣間見せるも


巨人・大勢


巨人・大勢

 今季も絶対的守護神に君臨するはずだったが、WBC参戦の影響もあったのか不安定さも垣間見せてしまった。アベレージで154キロの剛球は変わらないものの、自慢のフォークの抑えが効かず投球割合が減少。組み立てが単調になったところを痛打される悪循環に陥り、5月13日の広島戦(東京ドーム)では自身初となる2試合連続のセーブ失敗を喫した。だが、精神面でリセットをかけてそこから再び調子を上向かせることができるのが、この男の強さ。徐々にマウンドでのすごみを取り戻しつつある。いずれにしても、「大勢につなげ」がチームの共通認識であることに変わりはない。

【2023年成績】
16試合1勝0敗9S1H、奪三振率11.25、防御率2.81

投手キャプテンも務める新守護神



ヤクルト・田口麗斗

 クローザーとしてリーグ連覇の立役者となったマクガフがメジャー・リーグへ復帰。新守護神の確立が急がれたが4月1日、開幕2戦目の広島戦(神宮)で9回のマウンドに上がったのは田口麗斗だった。左腕は相手打線を三者凡退に抑え、今季初登板で初セーブを記録。高津臣吾監督は試合後、「一番良い収まりなんじゃないかという判断」と田口のクローザー起用を明言した。巨人からヤクルトへ移籍して3年目、巨人時代には先発の経験もある田口は新たな役割でも躍動。今季から投手キャプテンも務め、あらゆる面でチームの勝利のために力を尽くしていく。

【2023年成績】
18試合0勝2敗11S4H、奪三振率12.74、防御率2.04

代役にも変わらないスタイル


広島・矢崎拓也


広島・矢崎拓也

 絶対的守護神・栗林良吏を右内転筋筋挫傷により欠いてから約1カ月。当初、誰もがこの状況に危機感を覚えていたが、“遅れてきた”右腕の存在が空気をガラリと変えた。昨季47試合に登板して17ホールド、シーズン終盤は8回も担った経験から今季もセットアッパーとして期待されていたものの、キャンプ終盤に左脇腹の張りを訴えて開幕は二軍スタートに。4月後半に一軍に合流すると、栗林離脱を受けて役割の重責度が増した。ただ、当の本人は至って冷静だ。顔色一つ変えずマウンドに上がり、淡々と目の前の打者を斬っていく。ピンチの場面でも「緊張は“悪”じゃないので」。すべての状況を受け入れて、自分の投球を続けていく。

【2023年成績】
13試合3勝0敗4S2H、奪三振率6.57、防御率0.73

写真=BBM
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