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9連勝で首位快走の阪神 他球団から「エース級の先発投手が6人いる」の嘆きが

 

総合力が高い村上


球速以上のキレを誇る直球、多彩な変化球が武器の村上


 阪神が圧倒的な強さで首位を快走している。交流戦初戦となった5月30日の西武戦(ベルーナ)で3対1と快勝し、16年ぶりの9連勝。先発の村上頌樹が8回4安打1失点の快投で5勝目を挙げた。チームは直近17試合で16勝1敗。5月は19勝4敗で、月間勝利数の球団最多タイ記録に並んだ。

 パ・リーグのスコアラーは、阪神の強さについてこう分析する。

「投手力が圧倒的に違いますよね。村上、大竹耕太郎才木浩人は結果を残すことで自信をつけている。左腕の伊藤将司は安定しているし、西勇輝も状態が上がってきている。エースの青柳晃洋はファームで調整していますが、実績がある投手なので修正してくるでしょう。エース級の先発投手が6人いる感覚で、試合の主導権を握れない。打線も活発ですし、今の阪神に勝つのは難しい」

 春先に青柳、西勇とチームを引っ張ってきた両右腕が不調という誤算をカバーしたのが、試練からはい上がった投手たちだった。大卒3年目の村上は昨年まで一軍登板が2試合のみ。ファームでは格の違いを見せていたが、同期入団の佐藤輝明、伊藤将、中野拓夢の陰に隠れていた。今季は期する思いが強いだろう。

 才能を開花させようとしている。4月12日の巨人戦(東京ドーム)で7回まで走者を1人も出さない完全投球を見せると、次回登板となった22日の中日戦(バンテリン)で2安打10奪三振のプロ白星初完封勝利。その後も安定した投球を続けて8試合登板で5勝1敗、防御率1.41と申し分ない成績だ。抜群の制球力に加え、145キロ前後の直球は球速以上のキレがある。変化球も多彩で総合力の高い投手だ。

驚異的な安定感を誇る大竹


相手に得点を許さない投球が光っている移籍1年目の大竹


 快進撃のもう1人の立役者が、昨オフに現役ドラフトでソフトバンクから移籍した大竹だ。2021、22年と2年連続未勝利に終わり、新天地へ。球の出どころが見づらい投球フォームから打者のタイミングを外す緩急自在のスタイルで凡打の山を積み重ねる。今季7試合登板で6勝0敗、防御率0.40。44回2/3を投げてわずか2失点とその安定感は驚異的だ。

 5月27日の巨人戦(甲子園)で7回6安打無失点の快投で6勝目を飾った試合では、0対0の7回に代打を送られた直後に近本光司が先制適時打を放ち、「一人はみんなのため、みんなは一人のために。そういうチームプレーを感じたので思わず……」とベンチで涙を流した。大竹がマウンドで左腕を振り続ける姿は、一軍でプレーできる喜びと勝利への執着心を強く感じさせる。交流戦では古巣・ソフトバンク戦で登板する可能性があり、快投で恩返しができるか。

トミー・ジョン手術から復活の才木


力強い直球に落差の大きいフォークで打者を打ち取る才木


 本格派右腕・才木もエースになれる逸材だ。今季は5月上旬にファーム降格を経験したが、21日に再昇格後は2連勝。28日の巨人戦(甲子園)は8回途中まで1失点の快投で3勝目をマークした。20年11月にトミー・ジョン手術を受けたあとで最多となる122球の力投だったが、150キロを超える直球は最後まで球威が落ちなかった。

 才木は高卒2年目の18年に6勝をマーク。将来のエースと嘱望されたが、右肘痛で19年は3試合登板に終わり、手術を受けた20年オフに育成契約に。21年もリハビリに専念して2年連続で一軍登板がなかった。22年7月3日に支配下昇格。中日戦(バンテリン)で1159日ぶりの白星を挙げると、お立ち台で感極まって涙を流した。同年は右肘の状態を考慮して登板間隔を空けた起用法で、9試合に登板して4勝1敗、防御率1.53。才木は週刊ベースボールのインタビューで、「結果を追い求めて、焦ってしまうとまた何か違和感が出てしまうのも怖いので、登板後にはしっかり右ヒジを含め体のケアをしながら、自分の中で体の状態を確かめながらやっていきたいです。来年こそは1年間先発ローテの中で回る投手になりたいですから」と語っていた。

 村上、大竹、才木の活躍に、青柳、西勇、伊藤将の3本柱も刺激を受けているだろう。「最強の先発ローテーション」で交流戦も白星を積み重ねる。

写真=BBM
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