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【大学野球】外野手部門で初のベストナインに輝いた早大・尾瀬雄大に染み込む「帝京魂」

 

「早稲田に行くため、勉強も頑張りました」


早大・尾瀬は外野手部門で初のベストナイン受賞。努力が報われた


 何が何でも、早稲田大学で野球をする。

早大・尾瀬雄大(2年・帝京高)は気持ちが攻守走に表われている。力を込めて言う。

「小学校のころ、神宮で早慶戦を観戦し『WASEDAのユニフォーム、カッコいいな』とあこがれを持ちました。満員の早慶戦の舞台でプレーしたいと思いました」

 中学時代に在籍した武蔵府中シニアでは全国大会を経験。学業成績も優秀で、高校受験では早実の推薦入試に挑戦も、不合格に終わる。

「中学3年生の1月。まさか、落ちるとは思っていなかったのですが……」

 以前から声がかかっていたという帝京高に進学した。2年夏は新型コロナ禍で甲子園出場をかけた地方大会は中止となったが、東京都高野連主催の独自大会(東東京)で優勝した。3年夏は東東京大会4強。甲子園で春1度、夏2度の優勝へと導いた帝京高の名将・前田三夫監督が指揮した最後の夏である。

 尾瀬にも「帝京魂」が染み込んでいる。

「早稲田に行くため、勉強も頑張りました」

 学校評定はオール5。早大スポーツ自己推薦入試を突破し、ついにワセダの門をたたいた。

 1年春の立大2回戦を代打でリーグ戦デビューを果たすと、初打席初安打を記録した。1年春は2試合、1年秋は4試合に出場し、神宮で貴重な経験を積んだ。

「昨年11月の新チーム結成時から、今春はレギュラーで出場して、結果を残すことだけを考えてきました。冬の期間は徹底して、バットを振り込んできました」

 今春は「一番・中堅」に定着して全13試合に先発出場。10試合で安打を放ち、打率.347(リーグ5位)で、満票で外野手部門の初のベストナインに輝いた。

「まさか、取れるとは思っていなかったので、うれしいです」

 3年間、親身になって指導してくれた帝京高・前田前監督にも「自分たちが最後の学年。良い報告ができます」と笑顔を見せた。

尾瀬のバットがチーム浮沈のポイント


 浮かれてばかりはいられない。課題もある。早大は開幕から2カード連続で勝ち点を挙げ、5連勝と好調だったが、残る3カードで勝ち点を落とし、4位に終わった。尾瀬は開幕2カードで19打数10安打、1本塁打、4打点、打率.526も、残る3カードは30打数7安打、打率.233、1打点とやや疲れが見えた。尾瀬のバットがチーム浮沈のポイントであることが証明された。本人も自覚している。

「第1打席で出塁すると、打線に良い流れを持っていくことができたと思います。リーグ中盤からはマークも厳しくなって、なかなか結果が出なくなった。秋は1打席目で、先発投手のボールを一球で仕留めたいと思います」

 好きな打者はソフトバンク近藤健介。尾瀬は170センチ76キロ。近藤も同じ右投左打で171センチ86キロと、体格も似ている。バットコントロールの良さ、広角に打つヒットメーカーを目指している。大学卒業後は「プロへ行きたいです」と目を輝かせた。さらにマークが厳しくなる今秋こそ、尾瀬の対応力、真価が問われるシーズンとなる。

文=岡本朋祐 写真=矢野寿明
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