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侍ジャパンで大舞台と無縁も…阪神・大山悠輔に「球界屈指の四番打者」の高評価が

 

強引さがなくなった打撃


四番として首位を走る阪神打線の核となっている大山


 首位を快走する阪神を牽引するのが四番・大山悠輔だ。現在打率.301、7本塁打、リーグ2位タイの38打点をマーク。得点圏打率.345と勝負強さが光る。

 他球団のスコアラーは、今年の大山についてこう分析する。
 
「強引さがなくなりましたね。ボール球をきっちり見極めているからバッティングカウントをつくれる。もともとインコースをさばくのはうまい。穴がない打者になっているので、抑えるのが難しくなっている。他球団の四番打者と比べて本塁打数は多くないですが、球界屈指の四番打者だと思います。チャンスの場面で大山に打席を回さないようにしないと」

 阪神は得点力不足が課題だったが、今季はリーグ2位の229得点をマーク。上位、下位打線とどこからでも得点が奪える切れ目のない打線が特徴だが、その象徴が四番の大山と言える。38四球はリーグ3位で、出塁率.410は宮崎敏郎(DeNA)に次ぐ2位。自分で決めようと力まず、五番・佐藤輝明にきっちりつなぐ。ここぞという場面ではポイントゲッターとしての役割をきっちり果たしている。

交流戦でも際立つ活躍


 交流戦でもその活躍は際立つ。2カード目のロッテ戦3連戦は計7打点。打席の内容も濃い。6月3日の1戦目は初回1死一、二塁で種市篤暉のスライダーを捉えてバックスクリーンに先制3ラン。4日の2戦目は令和の怪物・佐々木朗希との対戦で、0対0の6回一死三塁でフォークを右前に運ぶ決勝適時打を放った。5日の3戦目は1点差を追いかける5回一死一、三塁の好機で左腕・小島和哉の内角低め144キロ直球を振り抜き、逆転の7号左越え3ラン。2打席連続三振の後に値千金の一打で、修正能力の高さを発揮した。

 侍ジャパンでWBC、五輪など国際舞台とは縁がないが、和製大砲のスケールは大きい。新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、120試合制で行われた2020年に打率.288、28本塁打、85打点をマーク。広い甲子園を本拠地に、岡本と熾烈な本塁打王争いを繰り広げた。昨年7月3日の中日戦(バンテリン)で通算100号本塁打を達成。658試合目での到達は、球団の日本人で田淵幸一掛布雅之岡田彰布に続いて4番目に速い記録だった。

指揮官からの大きな期待


 今年から就任した岡田監督の期待も大きい。昨年は佐藤輝が四番で108試合のスタメン出場と最も多かったが、大山の四番起用を明言。内外野の複数のポジションを守っていたが、一塁に固定した。

 岡田監督は週刊ベースボールのコラムで、その意図をこう綴っている。

「オレは大山一塁を明らかにして、それも固定すると宣言した。それには裏付けがあるのよ。(アンディ・)シーツや新井貴浩(現広島監督)と同じように、確実性の高い守りであること。それまで三塁を守っていたこともあり、打球に対する距離感がいいのよ。これが二塁、ショートから一塁に変わると、打球の距離感が変わり、戸惑いが出るものなんだ。それがサードから一塁なら、距離とか速さが変わらないから、一歩目が変わらずに出る。これは大きな利点なのだ。そういう意味では大山の一塁は大きな可能性がある、とオレは断言する。今年(22年)の一塁のゴールデン・グラブ賞は巨人中田翔やった。彼はうまい一塁手よ。でも大山はそれを超える守りができるに違いないし、2023年はこの賞に選ばれるはず。可能性は十分にある」

 6月は4勝5敗1分。19勝5敗と快進撃を繰り広げた5月の勢いは薄れたが、この交流戦が踏ん張りどころだ。攻守でスキのないチームに――大山は岡田阪神のキーマンだ。

写真=BBM
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