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中日・細川成也が球界屈指の強打者に大化けも 他球団から「和田一浩2世」と警戒が

 

確実性が高まった打撃


現役ドラフトで中日に移籍して才能が開花している細川


 もはや一過性の勢いではない。54試合出場で打率.330、6本塁打、32打点。得点圏打率.340とチャンスにも強い。強打者への変貌を遂げようとしているのが、中日・細川成也だ。

 昨オフに現役ドラフトでDeNAから中日へ。長距離砲として期待されたがDeNAでの6年間は一軍定着できず、昨年は18試合出場にとどまった。新天地で再スタートを切り、バットを振り込んだ。現役時代に右の強打者として活躍した和田一浩打撃コーチとの出会いも大きかった。タイミングの取り方を修正し、逆方向にもヒットゾーンが広がったことで確実性がグッと高まった。

 春先からクリーンアップに定着すると、広角に安打を打ち続けた。本職は外野だが、打撃不振だったダヤン・ビシエドの代わりに一塁でスタメンに出続けた。5月は打率.360、5本塁打、17打点で月間MVPを獲得。特に印象的なのが27日の古巣・DeNA戦(バンテリン)だった。2点を先制された直後の初回に4号左越えソロを放つと、6回には逆方向の右翼席に同点ソロ。サイ・ヤング賞を獲得するなどメジャーを代表する右腕で知られるトレバー・バウアーのスライダーを仕留めた2発は強烈だった。1試合2本塁打、1試合4安打はいずれも自身初。逆転勝利の立役者となった。

6月に入っても好調を維持


 6月に入っても、打撃好調を維持している。8日の西武戦(ベルーナ)では、自打球でスタメンを外れた石川昂弥に代わり、初の四番に抜擢された。初回一死二、三塁の好機で、宮川哲のカーブに体が突っ込まずタメを作って振り抜き、左中間フェンス直撃の2点適時二塁打。先制点をもたらすと、7回はボー・タカハシの148キロ直球をバックスクリーンへ運ぶ6号ソロ、9回も中前打を放ち、猛打賞3打点の大暴れだった。

 他球団のスコアラーは「変化球への対応力がDeNA時代から格段に上がった。以前は打てるポイントが限られ、タイミングを崩されるともろかったが、今はボール球を見極めて甘く入った球はきっちりはじき返せる。スイングスピードが速く、直球にはもともと強い。打撃スタイルが現役時代の和田一浩さんを彷彿とさせますね。ボールとバットの接地している時間が長いので、多少詰まっても力で押し込んで安打を飛ばせる。中日打線で抑えるのが一番難しい打者だと思います」と警戒を強める。

崩さない謙虚な姿勢


力強い打撃は確実性も備えており、打率も残せる


 期待以上の大活躍にも、細川は浮つくことがなく地に足がついている。5月下旬の週刊ベースボールのインタビューでは、「キャンプから和田さん(和田一浩打撃コーチ)をはじめ、いろいろと指導していただいて、そのときからずっとやってきたことを変えずに継続してやってきていますので、そういったことが少しずつ実を結んで、成果として出るようになっているのかなと思っています。まだまだですけど」と謙虚な姿勢を崩さない。

 さらに「(キャンプから変えずに取り組んでいるのは)タイミングの部分です。タイミングの取り方だったり、始動だったり、いろいろと。それでもまだ合っていない部分はありますけど、少しずつそれが合うようになってきて、だからしっかりと勝負できているのかなと自分の中では思っています」と手応えを口にしている。

 今年の目標を聞かれると、以下のように答えている。

「特にこれというのは……今は試合で使ってもらっているので、この舞台でケガなく、必死にやっていくことだけです。それでシーズンが終わったとき、どれくらいの数字を残せるだろうというのが楽しみではあるという感じです。とにかくアピールを続けて、このチャンスをモノにしたいと思っています」

 無我夢中でシーズンを駆け抜けた先に、どんな結果が待ち受けているか。細川の野球人生が大きく変わろうとしている。

写真=BBM
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