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昭和ドロップ!

開幕戦を語ろう! 篠塚和典さんが疑惑の本塁打について語る/『昭和ドロップ!』

 

 定岡正二氏、篠塚和典氏、川口和久氏、槙原寛己氏の書籍『昭和ドロップ!』が5月2日(一部地域を除く)、ベースボール・マガジン社から発売されました。昭和に生まれ育ち、昭和、平成に輝いた4人が、巨人長嶋茂雄、青春の多摩川ライフなど、あのころのプロ野球を愛あり笑いありでたっぷり語り合う1冊です! これは不定期で、その内容の一部を掲載していく連載です。

「あの一件で、今年は絶対にいいことないなと思ったよ」(篠塚)


『昭和ドロップ!』表紙


 定岡正二さん、篠塚和典さん、川口和久さんで開幕戦について語ってもらった章の一部である。珍しく盛り上がりに欠く回となってしまった。

――今回のテーマは「開幕戦の思い出」です。

定岡 開幕か……(ちょっと寂しそう)。

──開幕と言えば、篠塚さんの1990年の巨人─ヤクルトの開幕戦(4月7日、東京ドーム)が印象的です。ヤクルトの野村克也監督が執ように抗議してました。

川口 ああ疑惑のホームランか。

篠塚 ギャオス(内藤尚行投手)とのね。あの一件で、今年は絶対にいいことないなと思ったよ。案の定、いいことなかったなあ(腰痛もあって71試合の出場にとどまる)。

川口 あの判定は、実際に見ていてどうだったんですか。

篠塚 ラインの1メートルか2メートルくらいの幅で飛んでいった。けど、打った本人は打球が切れていくのが分かる。だから、一塁に向かう途中で止まったんだ。これ、切れるなと思ってね。それで戻ろうと思ったら、審判が手を回している。もう打ち直しするわけにはいかないでしょ。

川口 結局、ジャッジは変わらなかったんですか。

篠塚 変わらなかった。今みたいにリクエストもないしね。はっきり言えば、ほんとにいいの? って感じでベースを回っていたよ。自分としてはすごく嫌だった。ギャオスがマウンドで叫んでいたことは正しかったんだよ(ヒザを着け、「ファウルでしょ!」と叫んでいた)。

川口 サヨナラホームランでしたっけ。

篠塚 いや、8回裏の同点2ラン。試合は延長14回にサヨナラ勝ちした。

──川口さん、開幕投手は何回ですか。

川口 嫌な質問するね(苦笑)。実は俺、開幕投手は1回だけしかないんだよね。

定岡 カープは、ほとんど北別府学だったもんね。

川口 そうですね。ほぼ北別府さんで、時々、大野豊さんでした。それが一度だけ開幕投手になったんですよ。あれはいつだったっけな……。まあ、はっきり言えば、そのくらいどうでもいい思い出なんですけどね(1992年だった)。俺が巨人に強かったこともあるんだろうけど、当時の山本浩二監督に「お前しかいない!」と言われて開幕の巨人戦でマウンドに送り出されたら、いきなり雨天ノーゲーム。スライドで次の日に投げて、結局4点取られて途中交代かな。シノさんじゃないけど、その年はリズムが最悪で、6年続いていた2ケタ勝利が途切れちゃった(8勝12敗)。開幕投手なんてやるもんじゃないなと思いました。

定岡 いいじゃん、1回あれば。俺はないんだよ。15勝した1982年の翌年に開幕投手の話が来るかなと思ったら、2戦目だった。藤田元司監督からは「定岡、お前はいつでも開幕のチャンスがあるから、今年は2戦目で」って言われて「はい!」って答えたんだけど、そのあとずっとチャンスは来なかった(笑)。投げたかったけど、江川卓選手、西本聖の2人がいたからね。僕の開幕投手は遠い夢でしたよ。1回はやってみたかったなあ……。でも、あのとき藤田監督が、そう言ってくれたのはうれしかった。

川口 開幕戦は空気が違うんですよね。あの開幕の重たい独特の空気を切り裂かなきゃいけないと思うと、俺は気が重くなった。1回で十分です。
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