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巨人・大城卓三が侍ジャパンの正捕手候補に 「攻守で球界トップレベル」の高評価が

 

交流戦でも強打を発揮


長打力のあるバッティングが魅力の大城


 6月16日の楽天戦(東京ドーム)で、2点差を追いかける9回に坂本勇人の左中間3ランで逆転サヨナラ勝利を飾り、交流戦優勝にグッと近づいた巨人。今季最多の6連勝で首位・阪神に5.5ゲーム差まで縮めてきたが、攻守の要として奮闘しているのが、大城卓三だ。

 他球団を見渡すと、投手との相性などを考慮し、複数の捕手をスタメンで起用しているチームが多い。阪神は梅野隆太郎坂本誠志郎の2人を併用し、2位のDeNA伊藤光戸柱恭孝山本祐大の3人を起用している。リーグ3連覇を狙うオリックスもFAで西武から加入した森友哉若月健矢を使い分けている。その中で大城は今季63試合中58試合で先発マスクをかぶり、正捕手として試合に出続けている。

 一番の強みは打力だろう。今季は9本塁打をマーク。3年連続2ケタ本塁打にリーチをかけている。中田翔が右ふくらはぎ裏の肉離れで戦線離脱した5月は五番に入るなど、ポイントゲッターの役割を果たしている。10日のソフトバンク戦(PayPayドーム)で、逆転された直後の4回二死一、二塁で、石川柊太のフォークボールをすくい上げ、右翼席へ逆転3ラン。この一打が決勝打となった。

 13日の西武戦(東京ドーム)では、2点リードの5回、一死一、三塁でスクイズに成功。14日の同戦では2点リードの3回二死二塁で、左腕・エンスの外角の150キロ直球を左前にはじき返す適時打と価値ある一打が多い。15日の同戦でも技ありの一打を見せた。1点差を追いかける7回二死一、二塁で與座海人のシンカーを中前に運ぶ同点適時打。サヨナラ勝利を呼び込んだ。

守備でも見える成長の跡


 守備でも成長の跡が見える。ドラフト3位の田中千晴、DeNAから移籍してきた三上朋也、シーズン途中にオリックスからトレードで加入した鈴木康平ら新戦力のセットアッパーたちの能力を引き出し、相手の狙いを見透かして凡打に仕留める配球術が光る。

 スポーツ紙デスクは、「阿部慎之助(現一軍ヘッド兼バッテリーコーチ)という球史に残る名捕手と比較されるのでかわいそうな部分もありますが、大城は攻守で球界トップレベルの捕手だと思います。侍ジャパンで次期監督がまだ決まっていませんが、正捕手の有力候補になると思います。あとはチームを勝たせる捕手になることですね。チームの司令塔である捕手は優勝に導くことで評価が高まる。チームの黄金期に扇の要を務めた中村悠平(ヤクルト)、甲斐拓也(ソフトバンク)がいい例です」と期待を込める。

侍ジャパンの経験もプラスに


 今年3月に世界の頂点に立ったWBCで侍ジャパンの一員になったことも、貴重な経験になっているだろう。森が出場辞退したことで、「第3の捕手」として選出されたが、ブルペンで数多くの投手の球を受け、バックアップとして献身的に支えた。メキシコとの準決勝では途中出場でマスクをかぶり、大勢とのバッテリーで9回を無失点に抑え、逆転サヨナラ勝利の流れを作った。

 大城は1993年2月の早生まれで、同学年には甲斐、山田哲人(ヤクルト)、源田壮亮(西武)がいる。彼らは侍ジャパンでも中心選手だが、大城もそのレベルに上り詰める可能性は十分に秘めている。巨人は19、20年とリーグ連覇を飾ったが、大城は「不動の正捕手」とは言えなかった。21年以降も1年間を通じて先発マスクをかぶった経験がなく、意外なことに規定打席に到達したシーズンはプロ5年間で1度もない。

 シーズンを通じて捕手で全うし、3年ぶりのリーグ優勝へ。大城の全盛期はこれからだ。

写真=BBM
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