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今季一軍で出場なしも…巨人・中島宏之に「打撃は十分通用する」の高評価が

 

ファームで出塁率.351


現在はイースタンで試合出場を続ける中島


 交流戦を11勝7敗で終えた巨人。優勝は逃したが、首位・阪神と5.5ゲーム差まで縮めた。上昇気流に乗った要因として主力打者たちの復調が大きい。春先は打撃不振だった坂本勇人丸佳浩梶谷隆幸が状態を上げてきたことで得点力が上がっている。代打陣もアダム・ウォーカーが22打数9安打、打率.409の好成績で切り札的な存在に。その中で、ファームで汗を流してチャンスをうかがっている選手がいる。チーム最年長40歳の中島宏之だ。

 巨人に在籍5年目。スタメンで出場する機会は減ったが、勝負強い打撃で首脳陣の信頼は厚い。昨季は62試合出場で打率.242、1本塁打、20打点をマーク。「七番・一塁」でスタメン出場した4月27日のDeNA戦(横浜)で4回に満塁本塁打を放ち、39歳8カ月の一打で球団最年長記録を塗り替えた。対左投手に42打数14安打で打率.333と強さを発揮し、代打の切り札としても活躍した。

 通算2000安打の大記録に残り77本で迎えた今年だったが、6月下旬に差し掛かった現時点で一軍出場はない。3月の紅白戦で右手親指を骨折し、2週間余りで実戦復帰したがファームでの調整が続いている。イースタン・リーグで38試合出場し、打率.250、0本塁打。選球眼の良さに衰えは見られず、出塁率.351はさすがだ。

幾度も試練を乗り越えて


 スポーツ紙記者は、中島についてこう語る。

「本塁打は出ていませんが、バットは振れています。実績や打撃技術を考えればファームの成績うんぬんという選手ではない。一軍でもまだまだ十分に通用するし、結果をきっちり残せると思います。夏場に強い選手なので必ず力が必要になる時が来るでしょう」

 今季は一塁を守る中田翔が打撃好調で、中軸として不可欠な存在になっている。中田が5月上旬に右太もも裏の肉離れで離脱した時、中島に一軍昇格の声が掛かるかに思われたが、ドラフト4位の門脇誠が球際に強く、強肩で守備能力が高いことから三塁で起用され、岡本和真が三塁から一塁に回った。

 実績のある選手がファームで高いモチベーションを保つのは決して簡単なことではないが、38歳の長野久義、40歳の松田宣浩と共にハツラツとしたプレーでチームをもり立てている。幾度も試練を乗り越えてきたからこそ、今がある。若手のときの中島は西武で大型遊撃手として活躍。30歳のシーズン終了時点で1380安打を積み上げた。その後に海外FA権を行使してアスレチックスに移籍したが、メジャー出場は叶わず。マイナー・リーグで2年間プレーし、オリックスに移籍した。

酸いも甘いも経験


 西武で01〜03年の3年間、コーチ、監督と選手の間柄で共に戦った野球評論家・伊原春樹氏が週刊ベースボールの企画で直撃インタビューした際、中島はアメリカで過ごした2年間について、こう振り返っていた。

「ずっと日本におれば、日本のやり方しか分からないですから。アメリカに行って、違う練習方法、トレーニング、それこそ試合の流れも違いますから、そういった経験ができたのは良かったです。今後に生きることは確かでしょう。特別何かというのはないですけど、細かいこと、いろんなことが良かったです。アメリカで経験できたことは絶対にムダになりません」

 オリックスで4年間プレーし、巨人に移籍以降は打撃不振で背水の陣を迎えたが、打撃フォームの改造を決断。ミート力を重視したスタイルにモデルチェンジしたことで、復活した。酸いも甘いも経験したベテランは一軍昇格に備え、今日も最善の準備を尽くす。

写真=BBM
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