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阪神は20歳スラッガーが救世主? 他球団から「佐藤輝明より厄介な打者」と警戒が

 

抜群のスイングスピード


高卒2年目ながら鋭い打球を放つ前川


 交流戦を7勝10敗1分で終えた阪神。2位・DeNAが2.5ゲーム差まで縮めてきており、首位を快走していた5月の状況とは異なる。だが、明るい材料もある。成長著しい20歳のスラッガー・前川右京だ。

 高卒2年目の今年は岡田彰布監督が和製大砲として期待する中、左上肢のコンディショニング不良で春季キャンプは二軍スタート。打撃フォームで試行錯誤を重ねて開幕もファームで迎えたが、チャンスを虎視眈々と狙っていた。交流戦中の5月30日に一軍昇格。「七番・指名打者」でスタメン起用された6月6日の楽天戦(楽天モバイル)で、7回に宋家豪のチェンジアップを右前にはじき返すプロ初安打を放った。

 記念の一打に肩の荷が下りたのだろう。翌7日の同戦は三番に抜擢されてマルチ安打。その後も右投手のときはスタメンで出場している。交流戦最終戦となった18日のソフトバンク戦(甲子園)は0対9と大敗を喫したが、前川は孤軍奮闘した。初回にスチュワート・ジュニアの160キロの直球を捉えて遊撃内野安打を放つと、4回は156キロの直球を力強く引っ張り右中間に二塁打。3度目のマルチ安打で三番の役割を果たした。

 他球団のスコアラーは、「スイングスピードが速い。高卒2年目の野手としては飛び抜けている。快速球をきっちりはじき返せるし、打撃スタイルが金本知憲さんを彷彿とさせますね。ホームランバッターとしての能力は秋広優人(巨人)に引けを取らない。変化球への対応力も上がっているし、今後もスタメンで起用される機会は多いでしょう。調子を落としている佐藤輝明ノイジーより厄介な存在です」と警戒を強める。

岡本和は良きお手本


 智弁学園高で1年夏から四番を務め、高校通算37本塁打をマーク。ドラフト4位で阪神に入団すると、新人の昨年は3月13日のオープン戦・巨人戦(甲子園)でスタメンに抜擢されて2安打をマーク。度重なる故障の影響で一軍デビューは叶わなかったが、2年目の今季はブレーク候補として期待が大きい。

 高卒スラッガーの育成は阪神の悲願でもある。巨人・岡本和真ヤクルト村上宗隆ら球界を代表する大砲を育てられれば、打線に核ができる。智弁学園高の先輩である岡本は前川にとって良きお手本だ。高校時代に週刊ベースボールの取材で、こう語っている。

「高卒プロをずっと目標にしてきたので、プロの世界で頑張っていきたいです。自分はインパクトのときに力が入ってしまうところがあるので、(智弁学園高の先輩の)岡本(和真)さんのような柔らかい打撃ができるようになりたい。監督さんは入学してからずっと試合で使ってくださって、打てない試合もあったのですが、声を掛けていただいて、その一言にとても重みがあるというか、心に染みるものがありました」

掛布にどこまで近づけるか


高卒2年目の掛布は11本塁打をマークしている


 クリーンアップとして春先に得点源になっていた佐藤輝、ノイジーが交流戦に入って打撃が下降線をたどり、スタメン落ちを経験。岡田監督が打線のテコ入れに頭を悩ませる中、前川が三番に定着する活躍を見せれば大きなプラスアルファになる。結果を積み重ねていけば、先発投手が左腕のときもスタメンで起用されるだろう。

 前川は「掛布二世」と形容されることも。阪神OBで本塁打王に3度輝いた掛布雅之氏はドラフト6位で入団。高卒2年目の75年に106試合出場し、打率.246、11本塁打、29打点をマークしている。偉大な先輩にどこまで近づけるか楽しみだ。

写真=BBM
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