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今季7試合出場のみも…他球団が「第2の細川成也」と評価するDeNAの和製大砲は

 

身体能力の高さに定評


きっかけさえつかめば飛躍する可能性を秘めている蝦名


 交流戦で球団初の優勝を飾り、阪神と熾烈な首位争いを繰り広げるDeNA。強さの秘訣は選手層の厚さも要因の1つだろう。今季は関根大気が台頭し、右翼の定位置をつかんだ。中堅・桑原将志、左翼・佐野恵太の布陣が多いが、大田泰示楠本泰史とレギュラークラスと遜色ない選手たちが控える。その中で、身体能力の高さに定評があるブレーク候補がいる。プロ4年目の蝦名達夫だ。

 昨年は5月に一軍昇格すると、パンチ力ある打撃でアピール。追い込まれてもしぶとさを見せ、6月に入ると一番や三番でスタメンに抜擢された。夏場以降は調子を落としたが、自己最多の61試合に出場し、打率.247、3本塁打、8打点、6盗塁をマークした。

 今季はレギュラーの有力候補として期待されたが、開幕直前の3月22日に左内腹斜筋肉離れで戦線離脱。一軍昇格は6月14日までずれ込んだが、同日の日本ハム戦(横浜)に「二番・中堅」でスタメンに抜擢されると、好守でチームを救った。2回一死一塁で野村佑希が右中間に放った鋭い打球に対し、フェンスに直撃しながら捕球。二塁を回っていた一塁走者のアリエル・マルティネスは帰塁できず併殺が完成した。中4日の先発で来日初の完投勝利を飾ったトレバー・バウアーは「あの右中間の打球が抜けていたら得点になっていたと思いますし、本当に試合のターニングポイントになったプレーだったと思います。本当に素晴らしかったです」とお立ち台で蝦名への感謝を口にした。

細川は中日の主軸に


昨オフに現役ドラフトでDeNAから中日に移籍した細川は新天地で才能が開花した


 今季7試合出場で打率.154、0本塁打、0打点と目立った成績は残せていないが、他球団のスコアラーは蝦名を高く評価する。

「プレースタイルが塩見泰隆(ヤクルト)に似ていますよね。足が速くて、パンチ力がある。走者をかえす役割ができるし、チャンスメーカーになれる。打撃は粗いわけではなく、バットコントロールもうまい。実戦で試合に出続ければ結果を残す選手だと思います。細川成也(中日)のように、大ブレークしても不思議ではない」

 細川はDeNA在籍時に和製大砲として期待されたが、選手層の厚い外野でなかなかチャンスがつかめず、昨オフに現役ドラフトで中日に移籍。環境を変えたことで、眠っていた能力が引き出された。今季は広角に安打を放ち、3割を超えるハイアベレージをキープ。逆方向にも本塁打を放つなど長打力も色あせていない。勝負強さも発揮し、6月上旬以降は四番に。66試合出場で打率.317、10本塁打、42打点の好成績を残している。

チームの大きなプラスアルファに


 覚醒したのは細川だけではない。プロ10年目の関根も昨年まで代走、守備固めでの起用が多かったが、今季は課題の打撃で結果を残してMVP級の活躍を見せている。67試合出場で打率.313、3本塁打、26打点、6盗塁。春先は六番で起用されていたが、出塁率の高さを買われて5月中旬以降は一、二番で出場している。

 青森で生まれ育った蝦名は県外から誘いがあったが、青森商高、青森大に進学と地元愛を貫いた。8月上旬に行われる「青森ねぶた祭」では、高校の時から大学まで重さ4トンもある巨大な立体灯篭のねぶたが乗った台車の引き手として参加していた。蝦名はDeNA入団後に週刊ベースボールの取材で、「『ねぶた』に参加したり、見たりできなくなるのは寂しい。でも、『ねぶた』もいいですが、活躍して、自分も見てほしいですね。自分、『ねぶた』が好きなので、いつかは『ねぶた』を出したいです」と目を輝かせていた。

 首位争いを繰り広げるDeNAで蝦名が台頭すれば、大きなプラスアルファになる。グラウンドで「ねぶた祭」に負けない輝きを見せてほしい。

写真=BBM
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