週刊ベースボールONLINE

昭和ドロップ!

巨人の多摩川を語ろう! 2万人を集めた定岡さんが言う「人に注目されるのが苦痛でたまらなかった」/『昭和ドロップ!』

 

 定岡正二氏、篠塚和典氏、川口和久氏、槙原寛己氏の書籍『昭和ドロップ!』がベースボール・マガジン社から発売されました。 昭和に生まれ育ち、昭和、平成に輝いた4人が、巨人長嶋茂雄、青春の多摩川ライフなど、あのころのプロ野球を愛あり笑いありでたっぷり語り合う1冊です! これは不定期で、その内容の一部を掲載していく連載です。

「『巨人の星』だと、バスに乗っても誰も座らず、全員がつま先立ちしていた」(川口)


『昭和ドロップ!』表紙


 今回は定岡正二さん、川口和久さんで、かつての巨人の二軍球場、多摩川ライフについて語ってもらった章の一部である。

定岡 川口は多摩川、使ったことないだろ。

川口 一度もないです。巨人に入ったのは1995年で、当時もあったのかもしれないですけど、使ってなかったですね。今回は聞き役に徹しますからサダさんがたっぷり語ってください。俺の中では多摩川と言えば『巨人の星』(スポ根野球漫画でアニメでも大人気)かサダさんですから。

定岡 大げさだな。多摩川の歴史の中では、俺なんてちっちゃなもんだよ。

川口 (当時の写真を見ながら。※書籍未使用)こんなに人が入ったんだ。すごいな。

定岡 周りに何もないから、いくらでも入るんだよ。スタンドもないしね。

──定岡さんの入団当時の記事では、写真の説明文に『定岡フィーバーでにぎわう多摩川』と書いてあります。2万人くらいいたらしいですね。

川口 さすがサダさん、人気者!

定岡 確かにそのくらいいたかもしれないけど、すごいのはミスター(長嶋茂雄監督。サダさん入団の1975年に監督就任)。僕はせいぜい6000人くらいです。でも、今なら人を集めるための営業の苦労とか分かるけど、当時は知らないから、人に注目されるのが苦痛でたまらなかった。

川口 立ちションもできないくらいですか。

定岡 当たり前だよ! でも、多摩川は隠れるところがまったくない。トイレもブルペンの後ろにあったんだけど、壁が低くて、やってるとき胸から上が隠れないんだ。どうしても女子高生と目が合ってね。何とかしてくれと頼んで、隠すために木が植えられたんだよ。

川口 寮からは例のバスですよね。

定岡 そう、例の!

川口 『巨人の星』だと、バスに乗っても誰も座らず、全員がつま先立ちしていた。子ども心にすげえなって思っていました。

定岡 実際は、みんな座ってタバコ吸ってたけどね(笑)。

川口 これも『巨人の星』のネタですが、多摩川のグラウンドと言うと、花形満(阪神に入団した主人公・星飛雄馬のライバル)がスポーツカーでグラウンドに来て、車の上で来た球を打ち返すというシーンを思い出します。

定岡 多摩川と『巨人の星』はやっぱりシンクロするよね。

川口 当時は、野球やってる子も、やってない子も『巨人の星』を見ていましたしね。後楽園球場は当然あこがれなんだけど、その華やかな後楽園と対照的な多摩川の河川敷もまた好きだった。行ったこともなかったのにね。
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング