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一軍出場なしもファームで打率.358 「巨人の30歳右打者」に他球団から高評価が

 

ファームでは格の違う打撃


今季はファームでプレーを続けている石川


 モチベーションを下げず、一軍昇格のチャンスを虎視眈々と狙っている30歳の強打者がいる。巨人石川慎吾だ。今季は開幕からファーム暮らしで一軍出場がないが、イースタンでは46試合出場で打率.358、4本塁打、26打点をマークの好成績を残している。

 他球団のスコアラーは、「ファームでは格が違う。スイングが強いし、打球も鋭い。外野の守備、走塁でも状況判断に優れた選手なので魅力的ですよ。若手ではないけどまだ30歳でしょ? くすぶる選手でないし、一軍で十分通用する。良い選手であることは間違いない」と高く評価する。

 石川は2012年ドラフト3位で日本ハムに入団。同期の同学年は松本剛近藤健介(現ソフトバンク)、上沢直之と逸材がそろう黄金ドラフトだった。右の強打者として将来を嘱望されたが一軍定着できず、16年オフに大田泰示(現DeNA)、公文克彦(現西武)との交換トレードで吉川光夫と共に巨人へ移籍する。新天地で1年目の17年に勝負強さを発揮し、自己最多の99試合出場で打率.242、5本塁打をマークした。

かつて語っていた目指す選手


 週刊ベースボールの当時のインタビューで石川は自身の打撃スタイルについて、「僕にとって、一番バットに当たる確率が高いのって、全力で振ることなんです。軽く振るほうが当たらないんですよ。日本ハムに入って、当てにいくことも試しましたけど……。だからと言って、ホームランを狙っているわけではないんです。僕も高校時代は結構打たせてもらっていましたけど(※高校通算55本塁打)、ホームランの数にはこだわりはなくて、20本、30本打てる選手ではないと自分自身でも自覚しています。では、どういう選手を目指そうかと考えたときに、計算のできる選手にならないといけないな、と」と語っている。

 そして、目指す選手に質問が及ぶと、「小谷野栄一さんです。オリックスに移籍されましたが、僕の入団当時は日本ハムの主軸を任されていて、それ以前にはホームランの数は少ないのに打点王(※2010年。16本塁打で109打点)を獲ったこともある、理想的な選手です。一死二、三塁で小谷野さんに打席が回ると、絶対に1点を取ってくれる。勝負強くて、引き出しの数が多くて、バッティングを変えられるんです。四番で打席に入ったときには二死走者なしなら自分でスタンドに放り込んで1点を取ることもできますし、無死二塁なら四番なのに自分を犠牲にしてでも三塁に走者を進めるような形を何度も見てきました。そういうところを目指さなければ、この世界で僕は生きていけないなと思っています」と分析していた。

ファームで尽す最善の準備


 クラッチヒッターとして生きる道を模索したが、巨人でレギュラーを奪うのは容易ではない。外野は助っ人外国人のほか、丸佳浩梶谷隆幸がFA移籍と強力なライバルが毎年のように加入する。石川は一軍定着できないシーズンが続いたが、19年は8月24日のDeNA戦(東京ドーム)で右中間にサヨナラ2ランを放つなど印象に残る一打が多く、阪神戦は打率.474、3本塁打、4打点とキラーぶりを発揮。5年ぶりのリーグ優勝に貢献した。

 21年の春季キャンプでは、チームの緊急事態に備えて捕手の練習を行ったことも。昨年は6月17日にシーズン初昇格し、代打での出場が多く22試合出場で打率.276、0本塁打、2打点。9月以降はファーム暮らしだった。

 今年も石川が必要になる時はやってくるだろう。外野のレギュラーが固まっていないだけに、ファームで最善の準備を尽くす。

写真=BBM
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