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都市対抗2023

【都市対抗2023】大会史上最多62回の出場を誇る日本生命 “変化”を起こして虎視眈々と狙う頂点

 

「1試合で、成長していこう!」


日本生命・梶田監督は就任2年目で、自身初の都市対抗を迎える[写真=BBM]


 第94回都市対抗野球大会は7月14日から25日まで東京ドームで熱戦が展開される。開幕まで注目チーム、選手を紹介していく。

 大会史上最多62回目の出場を誇る名門・日本生命を率いるのは就任2年目・梶田茂生監督(筑波大)である。

「先輩方が築いた伝統は守っていかないといけない部分。歴史的背景として、選手たちには『プライドを持ってくれ!』とは言っていますが、実際に戦いに挑むときには『1試合で、成長していこう!』と言っています」

 過去4度の都市対抗優勝を誇るが、2021、22年と近畿地区二次予選で敗退した。3年連続で東京ドームを逃すことは許されない。だが、今年も勝負の厳しさを味わうことになる。

 日本生命は三菱重工Westとの第3代表決定戦、パナソニックとの第4代表決定戦を落とした。これで、あとがなくなった。残るは第5代表決定戦のみである。過去2年、この最後の1枠をめぐる死闘で涙をのんできた。

「焦り? ありましたよ。あの状況で焦りがないと言ったらウソになる。ただ、選手たちは第5代表決定戦前、私よりも落ち着いていました。言葉、行動、表情に前向きな姿勢が出ていたので、これは余計なことは言わないほうがいいと思いました」

 日本製鉄広畑との第5代表決定戦は7回を終えて、2対3と劣勢だったが、8回表に四番・皆川仁(立正大)の適時打で追いつくと、相手投手の押し出しで勝ち越し、さらにはルーキー・山田健太(立大)の2点適時打でリードを3点に広げた。日本生命はこのまま6対3で逃げ切った。土俵際を制したのである。

「やってきたことの積み重ねしか、試合では出ません。若いチームですので、本戦も予選同様、変化が起きることを期待しています」

 新人がチームに、活気をもたらしている。投手では佐伯亮太朗(東京情報大)、捕手では石伊雄太(近大工学部)、内野手では山田、外野手では松本渉(東洋大)が元気だ。山田は昨年のドラフト会議で指名漏れを経験し、社会人での飛躍を誓っている。梶田監督は「(山田は)力はあることは分かっています。大舞台でも、物怖じしない。中堅、ベテランがうまく受け入れ、ノビノビとプレーできる環境を整えたのも大きいです」と目を細める。

 2015年以来の黒獅子旗に狙いを定めているはずだが、梶田監督は慎重に語る。

「目標は目の前の一つです。それしかない。どんどん、挑戦しよう、と。まだ、われわれは大手を振って『日本一です!』と、表立って言うことはできません。あえて言いません。ただ、チーム内では最終目標を持っています」

 スローガンは「勝〜NISSAY PRIDE〜」。1回戦(7月17日、14時)はJR東日本東北と対戦する。一戦一戦を全力で挑み、その結果して、頂点を虎視眈々と狙っている。

文=岡本朋祐
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