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常時出場なら打撃タイトル獲得も? 他球団が評価する「巨人の長距離砲」は

 

大きな可能性を秘めた強打者


長打力のあるバッティングが魅力のウォーカー。V奪回へ向けて調子を上げていきたい


 長距離砲としての魅力は稀有なものがある。巨人で大きな可能性を秘めた強打者が、来日2年目のアダム・ウォーカーだ。

 今年は春季キャンプから打撃の状態が上がらず、開幕はファームスタート。外野の競争は熾烈だ。今季ブレークした高卒3年目の秋広優人、ベテランの丸佳浩梶谷隆幸、新外国人のルイス・ブリンソン楽天から昨オフに現役ドラフトで移籍したオコエ瑠偉、俊足の重信慎之介らが定位置奪取に必死だ。ウォーカーは4月14日に一軍昇格後もスタメン出場は20試合で、代打の切り札としてベンチスタートの試合が多い。今後はドラフト1位・浅野翔吾の一軍昇格に伴い、二軍に合流することになる。

 常時スタメンで出場しているわけではなかったが、与えられたチャンスの中で結果を残すこともあった。「六番・指名打者」でスタメン起用された6月7日のオリックス戦(京セラドーム)で5打数5安打3打点の大暴れ。2回に中越え三塁打、4回に左前適時打、6回にはバックスクリーンに5号ソロと止まらない。8回に左前適時打を放つと、9回も右前打。外国人選手で球団史上初のサイクル安打は達成できなかったが、勝利に大きく貢献した。8日の同戦も延長10回に2試合連続の6号右越え2ランで勝負を決めた。今季46試合出場で、打率.277、6本塁打、18打点。得点圏打率.381と勝負強い打撃に磨きをかけ、代打でも26打数9安打、打率.346のハイアベレージを残している。

大ブレークする助っ人が少ない近年


 パ・リーグのスコアラーは印象に残ったセ・リーグの助っ人外国人で、ウォーカーの名前を挙げた。

「パ・リーグであれだけ脅威を感じる外国人選手はいない。ウォーカーの良さは強引にいかないこと。変化球を見極められるようになり、甘く入った球はきっちりミートする。常時試合に出場すれば30本塁打は超えるでしょう。打撃タイトルに絡める能力を持った強打者だと思います」

 かつては、外国人選手が打撃タイトルでトップ争いを繰り広げるのが日常だったが、近年は大ブレークする助っ人が少ない。パ・リーグの打率10傑でランクインしている外国人選手はゼロ。マーウィン・ゴンザレス(オリックス)が57試合出場で打率.236、9本塁打、26打点、アリエル・マルティネス(日本ハム)が59試合出場で打率.250、9本塁打、27打点、デビッド・マキノン(西武)が74試合出場で打率.247、9本塁打、27打点、昨年までウォーカーと巨人でチームメートだったグレゴリー・ポランコ(ロッテ)が54試合出場で打率.213、8本塁打、28打点の成績を残している。

来日前は無名の存在も


 日本でプレーする助っ人外国人をマネジメントする球界関係者は、「日本人投手のレベルが上がり、助っ人外国人がすぐに活躍するのは難しい時代になっている。一線級の投手のレベルは3Aより日本野球のほうが間違いなく上だと思います。メジャー経験がある選手でも、日本で活躍できるかというとそうではない。日本野球への対応力の高さを示しているウォーカーは貴重な強打者です」。

 ウォーカーは来日前、無名の存在だった。メジャー経験がなく、推定年俸3400万円で入団。開幕はベンチスタートだったが、出場機会で対応力の高さを見せる。球宴に出場するなど、昨年は124試合出場で打率.271、23本塁打、52打点をマーク。外野の守備に難があったが、亀井善行外野守備走塁コーチ(当時)にマンツーマン指導を連日受けてひたむきに努力することで上達した。明るく謙虚な性格で、チームメートにもすっかり溶け込んだ。

 ペナントレースは折り返しを迎え、ここから真価が問われる。スタメン、代打の切り札とさまざまな役割で期待に応えられるか。ウォーカーの活躍は逆転優勝に向け、大きなポイントになりそうだ。

写真=BBM
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