週刊ベースボールONLINE

都市対抗2023

【都市対抗2023】“大変なところ”の登板も厭わない東芝・藤村哲之 ラストチャンスの3年目で目指す「都市対抗優勝」

 

指揮官から全幅の信頼


東芝・藤村は大卒入社3年目。プロ入りへのラストチャンスにかける[写真=BBM]


 第94回都市対抗野球大会は7月14日から25日まで東京ドームで熱戦が展開される。開幕まで注目チーム、選手を紹介していく。

 東芝・平馬淳監督(法大)は「1年目からいつも大事な試合、大変なところで投げてもらっている。素晴らしいと思います」と、左腕・藤村哲之(横浜商大)に全幅の信頼を寄せる。

 今年の西関東二次予選は前年の都市対抗覇者・ENEOSが都市対抗への「推薦出場」のため予選免除。例年は三菱重工Eastを交えた3チームによる、代表決定リーグ戦で出場2枠を争っていた。今年は8チームによるトーナメントで行われた。

 ともに2試合を勝ち上がった東芝と三菱重工East。東芝は三菱重工Eastとの第1代表決定戦を落とした。藤村はブルペンでスタンバイ。終盤リードの展開で投入される予定だったが、4対3の7回裏に追いつかれ、8回裏に勝ち越しを許す。4対5で敗れ、藤村の登板機会は訪れなかった。いつでも行けるように相当、投げ込んでいたという。当然、疲労は残った。試合終了は20時54分。

 翌日のジェイファムとの第2代表決定戦。エース・藤村は当然のように先発マウンドに上がった。試合開始は13時1分。プロ野球で言えば、最もつらいとされる「ナイター、デーゲーム」である。疲れも見せず、淡々とイニングを重ねていった。東芝は序盤から主導権を握り、6回を終えて6対0とリード。しかし、一塁ベンチの平馬監督は動かなかった。最後まで藤村に託したのだ。それが、名門・東芝のエース。東芝は8回裏に2点を加え、藤村は9回表を三者凡退に抑えた。散発2安打シャットアウト、10奪三振と圧倒した。

 8対0。東芝は第2代表で2年連続44回目の都市対抗出場を決めた。本来であれば、幕切れの際はマウンド付近でもみくちゃになって、喜びを表現するのだが、この日、歓喜は一切なし。東芝ナインは、何事もなかったかのように試合後の整列に向かった。ENEOS不在の西関東予選を象徴とするシーンだった。

ドラフト指名漏れを経て


 藤村は「チームとして、都市対抗優勝が最大の目標」と語った。昨年までのエース・吉村貢司郎(国学院大)は大卒3年目で、ヤクルトからドラフト1位指名を受けた。社会人の大卒選手のドラフト解禁は2年。つまり、指名漏れを経て1年後、プロ入りを遂げたのだ。

 藤村も昨年のドラフトを待った。侍ジャパンU-23代表としてU-23W杯(台湾)に出場中も、吉報は届かなかった。ラストチャンスと位置づける3年目。シーズン開幕の3月、JABAスポニチ大会で2年連続での優勝に貢献し、前年の吉村同様、MVPを受賞した。

 都市対抗西関東二次予選では吉村のように、自らの手で東京ドームへと導いた。146キロ左腕は「チームを勝たせるピッチングができれば、結果はついてくる」と信じている。東芝は七十七銀行との1回戦(7月18日、18時)が組まれている。重要な都市対抗初戦に合わせて、万全の準備を進めている。

文=岡本朋祐
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング